福祉医療機構の調査によれば、2023年度における介護老人保健施設の赤字割合は31.4%でした。2024年度は30.5%とわずかに数値が改善したものの、依然として約3施設に1施設が赤字という厳しい状況が続いています。介護報酬の改定により収益は増えているものの、人件費や物価高といったコストの上昇により経営難から脱却できずにいる施設も目立ちます。
出典:2024 年度 介護老人保健施設の経営状況について│WAM(https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/260327_No017.pdf)
老健の本来の役割は、入院を終えた高齢者のリハビリを通じ、可能な限り在宅復帰を促すことにあります。しかし、この在宅復帰に力を入れれば入れるるほど施設内の空床が増えてしまう、という構造的な課題を抱えています。
利用率が下がればそれだけ介護報酬の収入も減るため、赤字を招く要因となります。退所者の発生を補うためには、次の入所者を即座に受け入れ続けなければなりません。だからこそ入所者獲得が安定しない施設では、経営が苦しくなる傾向にあります。
在宅復帰率やリハビリ実績などの指標に基づき、老健は「超強化型」から「その他型」まで5つの区分に分けられていますが、在宅復帰やリハビリの実績が伸び悩むと「その他型」や「基本型」にとどまることになり、基本報酬の単価も低いまま。この状態に物価高やエネルギー価格の高騰が重なれば、コスト増を吸収できずに赤字幅が拡大する悪循環に陥りやすくなります。
他の介護施設と比べ、老健には常勤医師や看護師、理学療法士、作業療法士といった医療専門職の配置がより厳格に義務付けられています。そのため、そもそも人件費率が高くなりやすい経営構造です。
福祉医療機構の調査によれば、2024年度の老健の平均人件費率は61.3%。昨今の介護職不足も背景に、高額な派遣スタッフ費や求人広告費採用などのコストが膨らみ、収支バランスが崩れていくケースが後を絶ちません。
老健は、病院の病床調整を担う「受け皿」として、医療法人や社会福祉法人にとって欠かせない存在とされてきました。しかし老健単体で赤字が続くと、その母体である法人全体の収益を圧迫し、法人本体が共倒れしてしまうリスクが生じます。
福祉医療機構の調査によれば、赤字経営を余儀なくされている老健施設の割合は3割前後で推移。経営悪化の予兆を見過ごしたまま抜本的な対策を講じられず、施設の閉鎖や法人の倒産に至るケースは現実に存在します。
人材不足や専門職の退職により加算要件を満たせなくなると、収益が急激に悪化して事業継続が困難になることもあります。自力での収支改善が難しい状況で突然施設を閉鎖すれば、利用者や地域社会にも大きな混乱を招くことになるでしょう。
そのような事態を避けるために、他の医療法人や大手介護事業者への施設売却、すなわち事業譲渡(M&A)を行うことは、利用者と職員の雇用を守りながら事業を継続するための現実的な出口戦略と位置づけられています。
赤字続きの老健が収支を改善するうえでまず優先すべき課題の一つが、施設類型の見直しです。「超強化型」や「加算型」といった上位区分へ移行できれば、基本報酬の単価が引き上げることができるため、同じ稼働率であっても得られる収益が向上します。
上位区分を取得するためには、まず在宅復帰率、ベッド回転率、リハビリ専門職の配置状況など、国が定める評価指標と現状を照らし合わせることが必要です。現状との差分を的確に把握したうえで、そこを埋めるための具体的な経営方針へと転換することが黒字化への第一歩となります。
「超強化型」の施設区分を維持したまま高い稼働率で安定経営を続けるには、入退所のタイミングを途切れさせないベッドコントロールが欠かせません。この役割を担う支援相談員は、施設内の要となります。
適切にベッドコントロールするには、地域の居宅ケアマネジャーや、病院の退院調整看護師と日頃から連携を図って情報を密に共有しておくことが重要。入退所の流れを円滑にすれば空床期間を短縮できるため、在宅復帰率とベッド回転率を高い水準で両立させることが可能になります。
老健の現場では医師、看護師、リハビリ職、介護職と専門分野が分かれているため、連携が滞ると特定の職員へ負担が集中して連鎖的な離職につながるおそれがあります。だからこそ、各職種の専門性を尊重しつつ、情報を円滑に共有できるチームケア体制を構築することが重要です。
現場の負担感が軽減されれば職員の定着率は高まり、結果として人材紹介会社への手数料や採用コストの抑制にもつながります。
昨今は日本人職員の採用が困難な状況だからこそ、特定技能や技能実習といった在留資格を活用し、外国人介護人材を受け入れることが現実的な人員確保策となっています。安定した配置基準を維持できれば人手不足を理由としたベッドの受け入れ制限を解消できるため、稼働率と収益の維持が見込めるようになるでしょう。
外国人介護人材の受け入れにおいて重要なポイントは、採用して終わりではなく、職場への定着支援まで含めた受け入れ環境を整えることです。
医療やリハビリに関する情報量が多い老健の現場では、情報の記録や共有にかかる時間や手間が職員の負担となっているケースが少なくありません。そのような現場においてインカム、見守りセンサー、音声入力に対応した介護記録システムなど、デジタルツールを積極的に導入すれば、業務は大きく効率化されます。
残業時間の削減は現場の負担軽減と離職防止に直結するだけでなく、長期的には採用コストの削減という形でも経営を支えていくでしょう。
ZENKEN介護
稼働率を維持するためには人員の安定確保が不可欠ですが、昨今、日本人介護職の採用は決して容易でありません。そうした中で、打開策として近年取り入れられているのが、海外介護人材の活用です。
ただし海外介護人材の採用においては、言語対応や教育コストといった見えにくい負担が導入のハードルとなっているのも現実です。そのような課題を抱える施設に対し、総合的な解決策として「ZENKEN介護」の海外人材紹介をご提案します。
引用元:ZENKEN介護(https://zenken-career.jp/)
ZENKEN介護では、海外での現地教育から採用、複雑な受け入れ手続き、さらには来日後の異文化理解や「やさしい日本語」研修までを一貫して支援しています。求人票の作成や雇用契約、各種申請書類の準備、住居の手配といった煩雑なプロセスも代行するため、初めて外国人材を受け入れる施設でも比較的低いハードルで海外介護人材の活用を検討できるでしょう。
また、受け入れ側である日本人スタッフ向けにも研修を行うことで、現場全体の円滑なコミュニケーション環境も創出。外国人スタッフが働きやすい環境を作ることで、定着率の向上につなげます。
海外介護人材が日本で腰を据えて働くためには、「介護福祉士」の資格取得が重要なステップになります。そこでZENKEN介護では、専門的な介護用語の習得から国家試験対策まで網羅した教育プログラム「ZENKEN NIHONGO 介護」を用意。加えて、実務者研修などで実績がある三幸福祉カレッジと提携し、外国人職員でも受講しやすい研修を特別価格で提供しています。
将来のキャリアアップが見通せる環境を整えることで、外国人材の長期的な定着へとつなげています。
| 運営会社 | Zenken株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区麻布台 1-3-1 麻布台ヒルズ 森JPタワー22F |
| 電話番号 | 03-4212-2914 |
| HP URL | https://zenken-career.jp/ |
老健の経営を立て直すためには、特養やサービス付き高齢者向け住宅とは異なる「在宅復帰の推進と利用率の管理」という視点が大切になります。この視点を軸に、まずは施設類型を「超強化型」へ引き上げることで収益改善を目指しましょう。
その目標を実現するためには、支援相談員による安定した入所獲得体制を整えるとともに、海外介護人材の受け入れやDXによる業務効率化を通じて人員基盤を固めることが重要。これら三つの施策を組み合わせて着実に取り組めば、現在の厳しい介護業界においても安定した老健経営を目指せるようになるでしょう。