共に業界の未来を担う外国人介護人材メディア『ケア・いろ』 » 外国人介護士採用において知っておきたいトピック » 介護保険制度の改正

介護保険制度の改正

介護を必要とする人を支えるのに欠かせない日本の介護保険。介護保険は3年毎に見直し・改正されており、その内容について注目されています。ここでは、これまでに改正された介護保険の内容について解説しています。

介護保険法について

介護保険とは、介護を必要とする人への老人医療制度として高齢者の介護を社会全体で支える仕組みのこと。1997年に介護保険法が成立し、2000年には介護保険法が施行されました。日本の介護保険は、高齢者への「自立支援」、本人の選択を尊重する「利用者本位」、給付と負担の関係が明確な「社会保険方式」と3つの柱が基本的な考えとなっています。そんな介護保険は、3年ごとに改定されているのをご存じでしょうか?この機会に、介護保険の改正理由について知っておきましょう。

3年ごとに改正される理由

介護保険は、50%を保険料、50%を公費で賄っており、令和2年度予算は介護給付金費として11.5兆円が充てられています。高齢化に伴う受給者の数は年々増加しており、制度の創設から20年以上経ったいま、サービスの利用者は創設当初の約3.3倍にものぼるといわれています。

利用者が増えることで介護保険の総費用はますます増加、当初予定していた財源ではカバーできないのが現状です。そこで、介護保険制度は3年ごとの見直しを1期とするサイクルを構築。3年ごとに財政収支を見直すことで、事業の安定した運営を目指しています。

参照元:厚生労働省「介護保険制度をめぐる最近の動向について」「【PDF】https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000917423.pdf

参照元:厚生労働省「介護保険制度の概要」「【PDF】https://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf

これまでの主な改正内容

2006年度改正

介護保険が施行されてから初めての改正となる2006年度は、新たに地域包括センターの創設を実施。介護予防ケアマネジメントなどが制定され介護予防を重視した改正が行われました。負担能力を反映した第1号保険料の設定もこの年に行われています。

2009年度改正

2009年度改正では、介護サービス事業者の管理体制を整備するための改正が行われています。介護サービスを提供する事業者の事前届け出や、サービス確保の義務化を実施しました。

2012年度改正

2012年度改正では、地域包括ケアの推進を実施。介護予防や高齢者の日常生活を支援する事業として、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合サービスの創設に踏み切りました。さらに、医療的ケアを制度化し、介護職員によるたんの吸引を開始。有料老人ホームにおける前払い料金の返還制度など、利用者保護のための動きが活発化しました。

2015年度改正

2015年度改正では、地域医療介護総合確保基金を創設。全国一律の予防給付を地域支援事業に移行させることで、多様化するニーズに対応できるように整備しました。また、低所得者の第1号被保険者の保険料の軽減割合を拡大し、一定以上所得のある利用者の自己負担の引き上げを決定しています。

2018年度改正

2018年度改正は、全市町村で自立支援・重症化に向けた仕組みの制度化のほか、利用者の負担割合の見直しが行われました。なかでも、2018年は所得の高い利用者負担を2割から3割に増額、介護納付金への総報酬の導入など、大規模な改正が行われたのが特徴です。

2021年度改正

2021年度では、地域住民の複雑化したニーズに対応するべく、市町村の包括的な支援体制の構築支援を実施。データ基盤の推進を目指しています。

参照元:厚生労働省HP【PDF】https://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf

2024年度改正のポイント

利用者負担を2割にするのか

次回の介護保険改正の予定は2024年。2024年の介護保険制度の改正は社会保険費や利用者負担などが論点になることが予想されます。現在、介護保険の利用者負担は所得に応じて負担額が設定されていますが、増え続ける介護をカバーするため、利用者の負担を原則2割に引き上げる案が持ち上がっています。

しかしながら2割負担に引き上げることで、本来介護が必要な人の利用控えが起きるのではといった懸念もあり、改正には慎重な様子です。

人員基準の見直し

介護業界では慢性的な人材不足が続いており、2024年も引き続き大きな課題となります。介護人材を確保するための対策として、職員の給与改善の検討や、外国人の受け入れ環境の整備が進められています。

また、現場革新の取り組みについて、見守りセンサーを含むICTやテクノロジーの導入支援にも力を入れており、2024年の改正では人員基準の見直しについて何らかアナウンスがあるのではないかと予想されます。