介護や子育てを抱えている方々の雇用促進、および、そのための環境整備に取り組む事業者のサポートを目的に創設された両立支援等助成金。令和6年度1月からは「育休中等業務代替支援コース」が新設され、計4コースが運用される形となりました。当ページでは、両立支援等助成金の概要や申請条件、補助金額、補助・助成対象、申請の流れについてご紹介しています。
両立支援等助成金とは、介護・育児等を抱えている方々を対象に、家庭と仕事の両立を支援するために設けられた制度。この制度趣旨に呼応して環境整備を行った事業者に対し、取り組みに要した費用の一部を国が助成する形で労働者と事業者の支援を行います。
従来、出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コースの3コースが設置されていましたが、令和6年1月からは育休中等業務代替支援コースも新設。時代のニーズを見極めながら、少しずつ制度が進化しています。
助成金の金額はコースや条件に応じて様々。当ページでは、各コースの中でも特に注目度の高い育児休業等支援コースを例に解説を行います。
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の対象となる企業は次の通りです。
なお、ここに言う「中小企業」には明確な基準が設けられている点にご注意ください。業種別では、次の要件に該当する企業が両立支援等助成金を申請できる「中小企業」の例となります。
資本金3億円以下、または常時雇用している従業員が300名以下の企業
資本金1億円以下、または常時雇用している従業員が100名以下の企業
資本金5千万円以下、または常時雇用している従業員が50名以下の企業
資本金5千万円以下、または常時雇用している従業員が100名以下の企業
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の補助金額は次の通りです。
通常の場合 | 生産性要件を満たした場合 | |
---|---|---|
育児休暇取得時 | 28.5万円 | 36万円 |
職場復帰時 | 28.5万円 | 36万円 |
職場支援加算 | 19万円 | 24万円 |
生産要件を満たした企業においては、労働者の育児休暇取得時・職場復帰時の助成金と職場支援加算(※)を含めて、労働者1人あたり96万円の助成金が支給されます。
※職場支援加算とは
育児休業取得者の業務を社内の他の労働者に代替させ、業務の見直し・効率化を行うとともに、当該業務を代替した労働者に対して増額して賃金を支払った場合、加算して支給
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の補助・助成対象は、制度趣旨にしたがって労働者の家庭と仕事の両立を支援した事業者となります。
両立支援のための環境整備に要した費用の一部をサポートすることが助成金支給の直接的な目的なので、助成金は労働者本人の給与に加算されるわけではなく、事業者が負担したコストに充当される形となります。
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)申請の基本的な流れは次の通りです。
1. 育児休業等支援の実施を社内規定として周知させる
2. 育児休業等支援のプラン作成のために対象従業員と面談をする
3. 対象従業員に関する育児休業等支援プランを作成する
4. 対象従業員の育児休業等支援プランに基づき、業務の引継ぎ等を行う
5. 対象従業員は産後休暇を含めて3か月以上の育児休暇を取得する
6. 両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の「育児休暇取得時」対象の助成金支給申請をする
7. 対象従業員が職場復帰する
8. 両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の「職場復帰時」対象の助成金支給申請をする
対象従業員の育休中に代替要員の雇用を行うか行わないかに応じ、申請までの流れがやや異なります。詳しくは以下の厚生労働省の資料をご確認ください。
なお、助成金の申請書類等の提出先は、各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)になります。
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)では、育休取得時と職場復帰時の2回にわたり助成金の申請手続きが必要となります。育休取得時に申請を行わなかった場合には職場復帰時の申請も行うことができなくなる点にご注意ください。
参考までに、それぞれの申請期限は次の通りです。
育休開始日や職場復帰日からすぐに申請できるのではなく、それぞれ「3か月後から」「6か月後から」というタイムラグを経て申請できる形となります。申請スケジュールを確認のうえ、忘れずに期限内で手続きを行いましょう。