外国人介護人材にとって、日本は異国の地です。そのことを踏まえ、日本での介護業務を行うにあたって指導すべきことや教育体制の構築、サポートすべきことなどについて解説します。
介護は人と接して行うサービスであるため、日本語によるコミュニケーションが必要不可欠となります。外国人介護人材は、各在留資格を得る過程である程度の日本語能力を習得していますが、日本語自体が、他の言語と比べて難易度が高く、外国人には理解されづらいです。そのため、日々の業務の中でも日本語能力を高めてもらうためのサポートが必要になります。
外国人介護人材に対する業務指示に対して、了解した旨回答をされたのに、実際は全く伝わっていなかったり、微妙なニュアンスの違いが伝わらないことがあります。こういったコミュニケーションエラーは、日本語の難しさだけでなく、文化をはじめ歴史的・政治的背景などによる価値観の違いにより生じます。
外国人介護人材を受け入れる際には、外国人介護人材とのコミュニケーションで気をつけなければいけないことを、現場職員に十分に説明し、理解を得ておくなど、あらかじめ受け入れ体制を整えることが大事になります。
外国人介護人材の在留資格には以下のとおり4つの制度があり、おのおのの制度の目的としくみを理解した上で、在留資格を管理する必要があります。
業務上の不満や疑問、日常生活上の困りごとが発生した場合には、早期に解決を図ることが重要で、外国人職員に不審な行動が見えたとしても、まずは話をすることで心を開いてもらい、その悩みを一緒に考え解決することで、なんでも相談できるという信頼関係を築くことが大切です。
まだ不慣れな日本語を使う外国人職員とコミュニケーションを取りやすくするために、わかりやすく伝えることや指導するにあたってのポイントは次のとおりです。
1.わかりやすい日本語で話すポイント
2.日本語を指導する際のポイント
外国人介護人材には、利用者が「じぶんでできること」についても介助してしまわないよう、利用者の「じぶんでできること」と「やらなくなっていること」は何か、をどのように区別して見極め、利用者が自分でできるよう支援していくかをポイントとして伝えることが大切です。その際に、利用者主体であることや、利用者特性に応じた対応が必要であることを理解してもらうことが重要です。
日本では、介護過程や計画に基づき、チーム全体で利用者の介護を行っていますが、海外では、個人主義で業務を遂行する国もあります。そのため、同僚の介護職員や他職種と連携しながら、利用者の状況を多角的に見ていくものであることを理解してもらえるようにすることが重要です。
日本の介護現場では、利用者のケアをチームで行うため、連係プレーを心がけることが大切です。そのため、チーム全体の円滑な業務の遂行の進行をサポートしたり、進行中の業務のホウレンソウ、すなわち「報告・連絡・相談」は欠かせないことを伝えることが重要です。
外国人介護人材を受け入れる介護施設等は、外国人職員が健康で快適な日常生活を送れるようにするため、快適な住宅環境を確保するよう進めるとともに、住宅を使用する上での留意点の補足、食生活や生活環境における必要なサポート、怪我や病気の時の医療機関の活用など適切な支援を行うことが大切です。
異文化で生活することのストレスやホームシックによるメンタル面への配慮も必要なことです。外国人介護人材を受け入れる介護施設等は、外国人職員が同僚と職場内外でコミュニケーションを図れるよう配慮し、また生活の悩みや苦情について相談しやすいよう、担当者を配置するなどの対応も検討すべきです。
メンタル面で問題を抱えていると感じたら、まず話を聞いてサポートをする姿勢を見せることが大切です。程度によっては産業医や相談窓口を活用します。
感染症への接触が少しでも疑われる場合には、介護施設への出入りを止めてもらうことを徹底します。インフルエンザの流行時期や、外国人介護人材が一時帰国した後など、潜伏可能性のある期間等は、最大限の注意を払うようにします。
労務管理は日本人職員と同様に適正に行う必要があります。日本人職員も含めた全体的な設計が必要ですが、勤続年数による感謝金の支給などはモチベーションアップにも有効です。外国人労働者が適正な労働条件や安全衛生を確保しながら、在留資格範囲内で、その有する能力を有効に発揮しつつ就労が続けられる環境を確保できるよう、示された指針「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」に沿って、適切に対応しなければなりません。
帰国(出国)の日から1年以内に再入国する場合、有効な旅券と在留カードを所持していれば、みなし再入国許可により出入国することが可能ですので、特に事前の手続きは不要です。ただし、出国の日から1年が経過するより先に在留期間が到来する場合は、当該期限までに再入国する必要があります。
出国の日から1年を超えて再入国する予定がある場合は、みなし再入国許可による出入国はできませんので、住居地を管轄する地方出入国在留管理局等で再入国許可申請を行う必要があります。
介護業務は人と接する仕事のため、日本語によるコミュニケーションを必要とする業務です。そのため、外国人介護人材に日本語能力を高めてもらうようサポートすることが大事です。また、外国人介護人材にとっては、日本は異国の地であり、異文化で生活することによるストレスを抱えることになります。その点を考慮して受け入れ体制を整え、日常生活をサポートしたり、悩み事を相談しやすい環境をつくるなどの対応が重要となります。