外国人介護福祉士の在留資格によって雇用できるサービスや業務内容の制限など、条件に違いがあります。採用したものの任せたい業務に就かせられないなどの問題を避けるためにも、事前に把握しておきましょう。そこで、外国人介護福祉士の制度による待遇の違いや、不満が出た場合の対策について解説します。
特定技能による外国人介護福祉士の受け入れ期間の上限は5年です。その期間が満了すると、帰国となります。
また、特定技能による外国人介護士はフルタイムで直接雇用しなければなりません。派遣社員や短期勤務、アルバイトでは雇用できないため注意しましょう。就労できる介護サービスにも制限があり、訪問系介護サービスは就労不可となっています。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅なども同様です。特定技能外国人が行えるのは「身体介護業務」「支援業務」「それらに付随する業務」となっています。特定技能は夜勤も可能な在留資格です。給与や福利厚生については、同じ業務の日本人介護職員と同等またはそれ以上にする必要があります。
技能実習による外国人介護福祉士の受け入れ期間の上限は最長で5年です。技能実習はあくまでも技能移転を目的とした在留資格のため、満了すると帰国となります。
また、技能実習生は原則正社員として雇用しなければなりません。特定技能と同様に、訪問系サービスの就労は不可となっています。業務についても制限があり、技能実習生が夜勤業務を行うためには、技能実習生以外の介護職員と一緒であることが必要です。
さらに夜勤業務を行うのは、2年目以降に限定することが努力義務となっています。技能実習生1人で夜勤業務は行えないため注意しましょう。
2017年11月に行われた法改正により、技能実習制度に介護職が追加されました。外国人介護福祉士に対してより適切な対応が求められ、労働基準法などは日本の法律が適用されます。つまり給与などは日本人と同等かそれ以上でなくてはなりません。
EPA制度により介護福祉士を目指して来日する外国人は、事業所で3年間の実習を行います。実習とはいえ業務を行うため、社員として雇用しなければなりません。
介護福祉士の資格を取得できれば、特定技能や技能実習とは異なり、訪問系サービスへの就労もできます。夜勤業務については条件があり、介護福祉士国家資格の取得前は、雇用して6ヶ月が経過している、または日本語能力試験N1もしくはN2を持っていれば可能です。
国家資格を取得した後は通常どおり夜勤業務を行えます。EPAの給与については特定技能や技能実習と同様、日本人介護福祉士と同じ労働基準法に則り、同等またはそれ以上と定められています。
介護福祉士養成施設にて介護福祉士国家資格の取得を目指す、在留資格「留学」の外国人人材はアルバイトが可能です。ただし勉強に差し支えのない範囲であることが労働条件のため、労働時間は週に28時間以内と制限が設けられています。
アルバイトとして採用したい場合は、事業所が管轄のハローワークへの届出を行う義務があります。
また、留学生が介護職員としてアルバイトをするためには、資格外活動許可が必要です。採用する事業所は、必ず資格外活動許可の有無を確認しましょう。
外国人介護福祉士を雇用する場合は教育支援なども必要になるため、長期的に考えると、教育した人材が長く働いてくれることが人件費を抑えられる方法といえるでしょう。
特定技能と技能実習は受け入れ期間が最長5年のため、期間が満了すると帰国することになります。しかし介護福祉士国家資格を取得し、在留資格「介護」へ変更すれば、永続的な滞在が可能です。
EPAについても同様に、介護福祉士国家資格を取得すれば永続的に日本で働くことができます。コストを抑えるために、働きやすい環境や学習のサポートなどの定着支援を行い、外国人介護福祉士に長く働いてもらえる職場環境づくりに取り組みましょう。
日本で働く外国人介護士は、同じ出身国の仲間同士で強いネットワークを持っています。就労している事業所が異なっていてもつながりがあるため、環境や待遇などさまざまな情報交換が可能です。
よりよい待遇で働く外国人介護士がいることがわかると、自身の状況と比較してしまいます。その結果、不満が出てくるというケースが少なくありません。
外国人介護士を採用する事業所は、常に他の事業所と比較されているという自覚を持ちましょう。外国人介護士だけでなく、職員が感じている不満や問題はないか、課題がある場合は改善をし、働きやすい職場環境や人間関係の構築に努めることが重要です。
また、来日前に外国人介護士と面談する機会がある場合は、自社の待遇や状況、理念についてしっかりと説明をして理解してもらいましょう。
外国人介護士が納得した上で就労することで、不満も出にくくなります。