外国人が介護福祉士になるには養成施設ルート、実務経験ルート、EPAルートの3つがあります。各ルートの詳細について解説するとともに、国家試験の合格率や合格のために必要なポイントをまとめました。
在留資格「留学」等で入国後、専門学校や大学、短大などの介護福祉士養成施設で2年以上学んで国家試験を受験するルートです。
介護福祉士養成施設に入学するためには高等学校等を卒業しており、日本語能力試験N2相当の日本語力が求められます。また養成施設ルートでは介護福祉士国家試験の実技試験が免除されるため、受験は筆記試験のみです。
試験時間は通常の日本人と同じですが、漢字にふりがなをふった試験用紙が用意されています。
介護福祉士国家試験に合格すると、在留資格「介護」を取得可能です。介護福祉士を取得した留学生が在留資格「留学」から「介護」へ変更することで、日本国内での介護や介護の指導業務に就労可能となります。
技能実習生や特定技能で入国後、介護施設等で3年以上の実務経験を経て国家試験を受験するルートです。
実務経験ルートでは、3年以上の実務経験のみでは受験できません。実務者研修または介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修の終了とあわせて、受験資格となります。
実務経験ルートでは実技試験が免除されるため、受験は筆記試験のみです。試験時間は通常の日本人と同じですが、漢字にふりがなをふった試験用紙が用意されています。
介護福祉士国家試験に合格すると、在留資格「介護」を取得可能です。在留資格「介護」を取得することで、外国人介護福祉士として日本国内での介護や介護の指導業務に就労可能となります。
EPA介護福祉士候補者として入国後、介護施設で3年間の実務経験を経て受験するルートです。
EPAは2国間の経済連携強化を趣旨とする「経済連携協定」に基づく資格であり、インドネシア、フィリピン、ベトナム3カ国の介護福祉士候補者の受け入れが可能です。
在留資格「EPA」を取得するためには看護大学などを卒業する、または母国の介護師資格認定者であることがひとつの要件となっています。また日本語能力は国ごとに異なり、インドネシアは令和3年度までN5程度以上ですが、令和4年度からはN4程度以上が必要です。フィリピンはN5以上、べトナムはN3以上が要件となっています。
EPAルートは養成施設と実務経験ルートとは異なり、実技試験もあります。しかし筆記試験の時間は、通常の1.5倍に設定されています。
厚生労働省が公表した、令和5年第35回介護福祉士国家試験におけるEPA介護福祉士候補者の試験結果によると、合格者数は754人でした。合格率は65.4%となっており、半数以上が合格していることがわかります。
中でも合格率が高いのがベトナムです。インドネシア、フィリピンの初受験者、再受験者の合格率が50〜70%程度であるのに対し、ベトナムは初受験者、再受験者ともに90%以上の合格率となっています。
実技試験はEPAルートのみですが、日頃の実務経験でしっかりと身に着くでしょう。
介護福祉士を目指す外国人にとって、難易度が高いのは筆記試験です。介護福祉士の国家試験は、外国人であっても日本語で行われます。介護に関する専門的知識はもちろん必要ですが、結果を大きく左右するのが日本語能力のレベル。会話は日常生活や職場でのコミュニケーションで徐々に上達しますが、試験においては漢字や語彙力、読解力が必要不可欠です。
漢字にふりがなをふった試験用紙が用意されていますが、読み方がわかっても意味が理解できるわけではありません。国家試験では、漢字の意味を理解していることが重要です。
EPAの中でも合格率が高いベトナムは、漢字に馴染みがあることが大きなアドバンテージとなっていると考えられます。介護の専門的知識を深めるとともに漢字や語彙力を身につけ、スムーズに問題を読み解く学習をしましょう。
仕事をこなしながら学習することはハードルが高いため、職場でのサポートも必要です。介護の現場で仕事をしながらできる学習支援や、事業者側が積極的に勉強時間を確保するとよいでしょう。
採用した外国人介護士に制限なく働いてもらうためには、介護福祉士資格の取得が必要です。しかし、独学で合格を目指すのは難易度が高いのも事実。ここでは、介護福祉士試験対策がある日本語教育プログラムを、長期で腰を据えて学ぶ通期講座と、短期で集中して対策を行うスポット講座別に紹介しています。施設で働く外国人スタッフの状況に合わせて選んでみてください。