人手不足を抱える介護業界では、外国人材の活躍が注目されています。ですが、実際に外国人が活躍している事業所や企業はどのくらいあるのでしょうか?ここでは、外国人材の受け入れ人数の推移について調査しました。
厚生労働省によると、外国人材の受け入れを実施している介護事業者は増加傾向にあり、外国人を対象とする人材獲得が活発化しています。令和3年3月時点での介護分野の人手不足は6万人ともいわれており、これからますます外国人材が求められることが予想されます。
特定技能とは、人手不足を抱える介護分野において、介護知識や技能を持つ外国人を働き手として受け入れる制度のこと。複数ある在留資格のなかでも、国内の人手不足を解消するための資格であるのが大きな特徴です。特定技能による在留資格は最長5年で、家族の帯同は不可。身体介護と支援業務を担当することができます。
そんな特定技能による外国人材の受け入れ状況ですが、厚生労働省の発表によると令和2年9月時点で343人、令和3年12月時点で5,155人と大幅に増加しています。介護業界は深刻な人手不足を抱えており、外国人材に頼らざるを得ない状況であることがわかります。事業所としても、外国人材を受け入れる体制を整えておく必要があります。
技能実習とは、日本の介護技術を発展途上国へと移転し、現地発展に貢献する制度です。本来はこうした発展途上国への技術の移転にある制度ですが、最近では単なる人手不足解消として利用されているケースが問題視されています。
厚生労働省によると、技能実習生の受け入れを行う施設は、令和2年10月時点で18,034件、令和3年3月時点で22,858件と、こちらも増加傾向にあります。技能実習生として来日する外国人は日本語能力、介護業務への従事経験と2つの要件を満たす必要があります。技能実習制度は受け入れ施設へ指導を行う「監理団体」を設置する必要があり、在留資格のなかでもいくつかの制約を持っているのが特徴です。
EPAとは、国と国で結ばれている経済連携協定に基づき、幅広い経済関係の強化を目的とする協定のこと。介護分野におけるEPAは、日本の病院や介護施設で実務経験を積みながら看護師や介護福祉士など国家資格の取得を目指す外国人のことをEPA候補者と呼びます。EPA候補者は現地の看護大学を卒業するか、母国政府によって介護士として認定されること、さらに就労までに1年以上の日本語教育を受けていることが前提となります。そのため、EPA候補者は基本的な日本語能力と介護の経験・知識を兼ね備えた人材であるのが特徴です。
EPA候補者の在留者数は、令和2年10月時点で3,155人(782人)、令和4年3月時点で3,586人(合格者675人)と在留者の人数は増加しています。また、受け入れ延べ人数は6,454人、そのうち国家試験を合格した人は1,762人と、国内で活躍する外国人材は徐々に増えています。
特定技能や技能実習生、EPA候補者など、日本における在留資格を持つ外国人は様々なタイプがあり、どの在留資格においても年々受け入れ数は増加しています。その背景にあるのが日本の介護業界における深刻な人手不足です。国内の施設や事業所は、外国人材の受け入れを本格的に検討しなければならない状況であるといえます。