全国生協連が運営する保険事業として広く知られているのが、都道府県共済です。たとえば東京都では「都民共済」、愛知県では「愛知県民共済」というように、各都道府県ごとに共済が用意されています。これらの都道府県共済は、日本人だけでなく、加入条件を満たせば外国人労働者も加入することができます。外国人労働者の雇用に携わる方は、ぜひ知識を深めておいてください。
都道府県共済には生命共済、火災共済、傷害保障型共済、個人賠償責任保険の4つのプランが用意されており、それぞれ利用条件が異なりますが、外国人材でも住所・勤務地がある都道府県の共済に加入できます。
都道府県共済は各都道府県で保障内容が微妙に異なりますが、概ね以下の4つを扱っています。
生命共済は死亡・入院を保障します。「こども型」「総合保障型」「熟年型」に加え、入院を重視した「入院保障型」「熟年入院型」があります。例えば、怪我や病気に対する保障は、いざという時に非常に役立ちます。また、生命共済は家族全員で加入できるため、家庭の経済的安定にもつながります。生命共済の保険料は比較的低額であるため、多くの家庭にとって手頃な選択肢となっています。
火災共済は住居を所有している人向け、持ち家の人、賃貸の人それぞれに対応する保険です。名称は「火災共済」ですが、火災だけでなく、消防破壊、破裂・爆破、車両の衝突、落雷、水漏れ、第三者による加害行為、外部からの落下物などにも対応します。予期せぬトラブルに備える保険です。火災共済は、住宅ローンを抱える家庭にとっても安心材料となり得ます。さらに、火災共済の補償範囲は広範で、自然災害による被害にも対応しています。
見舞共済金として、臨時費用、焼死など、持ち出し家財、借家修復、漏水見舞費用、地震、風水雪害に対応しています。ただし、故意や重大な過失には支払いができないケースもあるので、気をつけましょう。加入者は、定期的に保障内容を確認し、必要に応じて補償額の見直しを行うことが推奨されます。
傷害保障型共済は、怪我での入院に対して1日目から日額での支払いが対応します。生命共済の加入者や持病のある人も加入可能で、営利を目的としていないため、余剰金は割戻金として返金されます。18歳~65歳と65歳~85歳で区分されており、受取金額が異なりますが、払い戻しがあるので、支払いに不安がある人に適した保険です。また、家族全員で加入することで、万が一の事態に備えることができます。
個人賠償責任保険は3億円を限度とし、日本国内であれば示談交渉のサービスが付与されています。都民共済の生命共済・傷害保障型共済・新型火災共済加入者を対象にしており、自転車利用に関する条例にも対応しています。日常生活における高額賠償リスクにも対応し、本人だけでなく、家族が国内外で偶発的に他人を怪我させたり、物を壊してしまった場合の損害賠償責任を補償する保険です。個人賠償責任保険は、家庭内の事故や子供の学校でのトラブルなど、幅広いシチュエーションに対応しています。
都道府県によって内容に違いはありますが、都道府県共済には「生命共済」「火災共済」「傷害保障型共済」「個人賠償責任保険」など、働く人の暮らしを支える保険が用意されています。営利を目的としないため費用が比較的抑えられており、ニーズに応じた選び方も可能です。
外国人であっても居住地の都道府県共済に加入できるため、外国人労働者を雇用する経営者やマネージャーは、この点を理解したうえで必要に応じて案内することが望まれます。