外国人介護福祉士は、在留資格ごとに求められる日本語能力のレベルが異なります。在留資格の要件である日本語能力試験に合格していても、実務や日常生活で使われる日本語に対応する難易度は高いものです。
制度ごとの目安レベルを把握し、さらなる日本語能力向上のための教育に取り組みましょう。
特定技能に求められる入国時の日本語能力は、N4程度以上です。N4の認定には、日常的で身近なテーマに関する基本的な語彙、漢字を使用した文章や、ややゆっくり交わされる会話を理解できる能力が求められます。
基本的な日本語を理解できるレベルのN4では、介護現場での実務や日常生活のコミュニケーションに課題を感じる可能性が高いでしょう。またこのレベルでは、介護に関する専門的な知識を日本語で教えることも難しいとされています。
さらに介護記録の作成は、漢字が習得できていない外国人介護福祉士にとっては難易度の高いタスクです。
日常的な会話や漢字を含む読み書きといった日本語能力を高めるとともに、介護の現場で必要になる専門用語なども学ぶとよいでしょう。
技能実習に求められる入国時の日本語能力はN3程度が望ましい水準とされていますが、要件はN4程度です。
2年目以降はN3程度が要件となっています。N3は日常的なシーンで使用される日本語を理解できるレベルであり、日本語能力の水準は比較的高いと言えるでしょう。しかし日本語を学ぶ際は丁寧な「です・ます」調を使うことが多いため、実際に日常的に交わされる日本語とのギャップに戸惑う外国人も少なくありません。
さらに介護の現場では専門用語が飛び交うことも多く、地域によっては方言を喋る利用者もいます。介護は対人サービスであり、利用者とのコミュニケーションも重要です。
日常的な日本語だけでなく、実際に現場で使う日本語や介護に関する用語、漢字など、より専門的かつ実践的な教育に力を入れましょう。
EPAでは入国時に求められる日本語能力の要件が国ごとに異なるため注意しましょう。インドネシアは令和3年度までN5程度以上ですが、令和4年度からはN4程度以上が必要です。
フィリピンはN5以上、べトナムはN3以上が要件となっています。インドネシア、フィリピンの要件はN5〜N4程度以上ですが、訪日後も継続的な日本語等研修があり、就労開始時点では大多数がN3程度に到達しています。
N3は日常的なシーンで使用される日本語を理解できるレベルです。つまりEPAで訪日する外国人介護福祉士は、日本語能力の水準が比較的高いと言えるでしょう。しかし実際に日常的に交わされる日本語と、学習した丁寧な日本語の違いに戸惑うケースも少なくありません。
さらに介護の現場では専門用語が飛び交うことも多く、病名なども含まれる介護記録の作成や申し送りといったタスクも業務に含まれます。日常的な日本語だけでなく、実際に現場で使う日本語や介護に関する用語、漢字など、より専門的かつ実践的な教育が必要です。
参照元HP：厚生労働省【PDF】（https://www.mhlw.go.jp/content/000639886.pdf）
介護は対人サービスのため、話を聞き取り理解する力、伝えたいことを日本語で伝えられる会話能力が必要です。また介護記録の作成なども業務に含まれるため、漢字を含む読み書きに関する力も求められます。
さらに介護現場や介護記録では、さまざまな専門用語が使われます。介護福祉士試験の学習をしていても、実際の現場ではより幅広い専門用語や知識が必要になるでしょう。
外国人介護福祉士の受入制度であるEPAや技能実習では、日本語能力試験がN2以上の場合、雇用からすぐに配置基準に含められます。日本語能力試験はあくまでも目安ではありますが、介護の現場ではN2以上の日本語レベルがあると安心といえるでしょう。
参照元HP：厚生労働省【PDF】（https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000497111.pdf）
日本語を学びたい外国人向けの教材やレッスンを活用する方法です。テキストやwebコンテンツ、オンラインレッスンなど、継続しやすい教材やレッスン方法を選びましょう。
対人サービスである介護の現場では、読み書きする能力だけでなく会話能力も必要になります。聞く、話すための学習も取り入れるのがおすすめです。
介護現場で日本人スタッフから学ぶことで、仕事をしながら日本語学習ができます。
実際のシチュエーションで使用する知識が身につきやすい方法です。事業所の人員などに余裕があれば、仕事をしながら日本語教育をしてもよいでしょう。
介護福祉士を目指す外国人のための専門的な学習テキストなどもあります。日常的な会話や読み書きができても、介護の現場では専門知識が欠かせません。
外国人介護福祉士向けの専門教材などを使って学ぶのも方法です。
採用した外国人介護士に制限なく働いてもらうためには、介護福祉士資格の取得が必要です。しかし、独学で合格を目指すのは難易度が高いのも事実。ここでは、介護福祉士試験対策がある日本語教育プログラムを、長期で腰を据えて学ぶ通期講座と、短期で集中して対策を行うスポット講座別に紹介しています。施設で働く外国人スタッフの状況に合わせて選んでみてください。
