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特定技能制度

外国人介護人材を受け入れるためには、在留資格について知っておく必要があります。このページでは在留資格の中でも「特定技能」にフォーカスし、その制度の概要・目的や他制度との違い、受け入れ可能な施設などについて紹介しています。

外国人介護人材の在留資格についてはこちら

特定技能制度の概要・目的

特定技能制度は外国人労働者を送り出す国と日本の二国間で締結される取り決めに基づく制度であり、外国人労働者を受け入れるにあたって各国との約束やルールを明確に定めて受け入れ・送り出しの協力・連携を円滑にするためのものです。さらに外国人労働者の受け入れに関しては仲介業者による搾取・過重労働・賃金未払いなどの劣悪・不当な環境が発生しかねません。こういった外国人労働者の保護も目的として挙げられています。

参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html

他制度との違い

特定技能外国人の制度は、人材不足が顕著な分野に、外国人材を受け入れることを目的としています。そのため、受け入れの間口が広い就労開始までの期間が短い勤務上の制約(勤務できるサービスの種別や夜勤の可否)が少ないという特徴があります。

介護福祉士の国家資格取得を目的としたEPA介護福祉士候補生や、外国への技術移転を目的とした技能実習生が、それぞれの資格による在留期間の満了後も引き続き日本で就労し、永続的に働くことができる在留資格「介護」を取得するまでの受け皿になるという点も、特定技能1号の大きな特徴です。

参照元HP:厚生労働省【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496822.pdf)

受け入れ可能な施設

特定技能「介護」において任せられる業務は、身体介護などのほかこれに付随する支援業務とされています。入浴や食事、排せつの介助などに加え、レクリエーションの実施や機能訓練の補助がこれらに該当します。しかしながら訪問系のサービスは対象外とされていますので、訪問系サービスを行わない施設でのみ受け入れが可能という整理になります。具体的にどの施設が対象になるのかについては、厚生労働省が公表している下記ページを参考にしてください。

参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000941619.pdf

参照:https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf

任せられる業務

特定技能「介護」の外国人労働者に対して任せられる業務は、主に身体介護に関する業務です。食事介助や衣服の着脱なども含めた日常的な生活支援に加え、施設内展示物の管理などもこれに含まれます。また、特定技能外国人は受け入れ直後から人員配置基準に算定することができるほか、「技能実習」の資格では任せることができない一人での夜勤も対応させることができます。

特定技能制度で来る外国人はどんな人?

受け入れの要件

介護技能評価試験

介護技能評価試験は厚生労働省が主催している試験であり、介護の基本やこころとからのしくみ、コミュニケーション技術、生活支援技術などの学科試験を設けています。また、判断等試験等の形式による実技試験課題を出題される実技試験も実施されるものであり、満点の60%以上を取得すると合格とされます。外国人が特定技能制度における求人対象として登録されるために合格しなければならない試験の一つであり、試験実施国の現地語にて出題されます。

国際交流基金日本語基礎テスト(もしくは日本語能力試験N4以上)

国際交流基金日本語基礎テストとは日本の生活場面におけるコミュニケーションで必要な日本語能力を測定し、「ある程度日常会話が可能であり生活に支障がない程度の能力があるか」を判定するテストです。この試験は在留資格において「特定技能1号」を得るためのテストとしても活用されており、日本語を母語としない外国人を対象にしています。

介護日本語評価試験

介護日本語評価試験も厚生労働省が主催している試験であり、介護のことばや介護の会話・声かけ、介護の文書の問題が出題されます。この試験も総得点の60%以上を取ると合格になるものであり、特定技能制度における求人対象として登録されるためには合格しなければいけません。難易度としては独学でも合格できるレベルとされています。

日本語能力

特定技能1号の対象となる外国人の入国条件は、ある程度の会話ができて生活に支障がない程度の日本語力と、介護の現場で働くために必要な日本語能力を持っていること、となっています。

技能実習生の入国時の要件はN4程度で、1年後にはN3程度が求められていることを踏まえると、特定技能1号の入国時にはN3相当の日本語力が必要になるでしょう。

日本語能力試験JLPTでは、N3は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」となっています。これに加えて、介護現場必要な日本語を押さえておく必要があります。

参照元HP:厚生労働省【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496822.pdf)

申請状況

介護分野の特定技能1号在留者は、2019年末には19人でしたが、2020年末には939人、2022年末には16,081人と大幅に増加しました。

急激な増加の一因としては、日本国内在留者対象となる資格であることが挙げられます。

介護分野の特定技能1号の在留資格は、同じ介護分野の技能実習の2号やEPA修了者ならば、無試験で取得可能。別分野の技能実習生であっても、試験に合格すれば介護分野の特定技能1号が取得できます。

さらに、日本での働き口を求める留学生が、特定技能1号を取得するケースも見られます。

参照元HP:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」(https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri07_00215.html)

参照元HP:サポネット(https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/interview/9062)

外国人介護人材を特定技能で受け入れるには

受け入れ可能な施設

特定技能の受け入れが可能な施設は、介護福祉士の受験資格要件において実務経験と認められる施設のうち、現行制度で存在するものと厚生労働省が定めています。これは技能実習制度における定めですが、特定技能実習制度も同様とされています。具体的には児童福祉法関係の施設・事業、障害者総合支援法関係の施設・事業、老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業、生活保護法関連の施設、その他の社会福祉施設等、病院又は診療所ですが、一部対象外の施設もあります。

受け入れの流れ

特定技能の受け入れを行うにあたっては「国内に在留中のものを受け入れる場合」と「海外に居住する外国人を受け入れる場合」で対応が変わってきます。それぞれの流れを把握しておくと、スムーズに手続きが進められるでしょう。

参照:https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri06_00103.html/

国内に在留中の者を受け入れる場合

国内に在留中の外国人を受け入れる場合、「外国人が試験に合格する」もしくは「技能実習2号を修了する」のいずれかが必要になります。その後特定技能の外国人労働者と雇用契約を結び、企業側としてはガイダンスや健康診断を行う必要があります。さらに特定技能の外国人労働者への支援計画策定や在留資格の変更許可申請・特定技能雇用契約書の写しの提出(地方出入国在留管理局あて)などを経て、就労開始となります。

海外に居住する外国人を受け入れる場合

海外に居住している外国人を受け入れる場合も「外国人が試験に合格する」もしくは「技能実習2号を修了する」のいずれかが必要になります。試験合格後にはその外国人労働者と雇用契約書を締結し、支援計画の策定を行います。そして在留資格認定証明書の交付申請を地方出入国在留管理局に提出し在留資格認定証明書の受領、在外公館でのビザ申請を経て入国に至り、就労開始となります。

受け入れの手続き

特定技能の外国人労働者を受け入れるまでの流れ・手続きについては前段で説明した通りですが、これらの手続きを施設側は対応する必要があります。これらの手続きのうち介護分野における特定技能協議会への申請に関してはオンライン上で行う必要があり、郵送やファックスなどでは受付がありませんので注意が必要です。また、「事業所の指定通知書」「介護分野における業務を行わせる事業所の概要書等(分野参考様式第1-2号)」や「雇用条件書(別紙「賃金の支払」含む)(参考様式第1-6号)」「1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)」「在留カード写し」などの書類も準備して提出する必要があります。

参照:https://www.mhlw.go.jp/content/001257138.pdf

メリット

すぐに就労を開始できる

特定技能1号は、一定の日本語能力と介護技能を持つことを、試験などで確認された上で入国しているため、生活オリエンテーションを終了すればすぐに就労が可能です。

介護福祉士資格を目指すEPAや、海外への技術移転を目的とした技能実習のような長期間の講習不要。EPAや技能実習2号修了者が在留資格を変更するための受け皿にもなっているため、日本の介護現場を経験した人を雇用することも可能で、すぐに配置できる点が大きなメリットです。

勤務形態や雇用人数に関する制限が
少ない

特定技能外国人は、訪問サービス以外すべての介護サービスで就労が認められています。技能実習やEPAは、開設後3年未満の介護施設での雇用が認められていませんが、特定技能1号ならば雇用が可能。夜勤も制限されていません。

また、雇用できる人数枠が大きいのもメリットです。技能実習制度の場合、実習生5人に対して介護福祉士1名以上の指導員が必要といった要件がありますが、特定技能制度で雇用できる外国人の上限は、常勤介護職員数となっています。

参照元HP:MUSUBEE(https://musubee.co.jp/blog/tokuteiginou-kaigo/)

デメリット

特定技能1号の外国人介護職員を雇用するには、定期的なサポート在留期間の更新といった業務が必要です。これらを外注する場合、委託料などの経費が発生します。

また、特定技能1号の外国人は、業種さえ同じであれば転職が可能です。ほかの介護施設への転職を防ぐために、待遇を充実させる必要があるでしょう。

特定技能1号に認められる在留期間は最長で5年です。この間に介護福祉士の国家資格を取得できなければ帰国することになります。

参照元HP:MUSUBEE(https://musubee.co.jp/blog/tokuteiginou-kaigo/)

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受け入れのために知識と準備を

特定技能の外国人労働者を受け入れるためにはさまざまな手続きを踏む必要があり、トラブルなく働いてもらうためにはほかにもさまざまな準備をしておく必要があります。これらをスムーズにクリアし現場でしっかりと業務に邁進してもらうためにも、事業者側でできる準備をし既存のスタッフにも周知するなど環境を整えるようにしましょう。このサイトではほかにもさまざまな情報を公開・発信していますので、ぜひチェックしてください。

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