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ベトナム人への日本語教育

外国人を採用するときに、最も気になるのが日本語力ではないでしょうか。ここでは、ベトナム人の日本語力について、ベトナムにおける日本語教育事情とあわせて解説します。日本語教育を提供する際は、ベトナムの文化への理解も不可欠です。ベトナム文化の特徴も紹介していますので、参考にしてください。

ベトナム人の日本語力とは

ベトナムは、東南アジアの中でも日本語教育を行っている機関が多い国です。2016年から初等教育の第一外国語として日本語が導入されており、その試みが終了した2019年以降は減少したものの、私立学校で日本語を取り入れる学校が増加しました。中等教育では、2005年から第一外国語科目として日本語が導入され、2018年には「第二外国語の日本語カリキュラム」が発表されたことから、日本語教育が中等教育の科目として定着してきています。ベトナム語と日本語の発音が似ていることからも、日本語習得力が高い国と言えます。

参照元:【pdf】JAPAN FOUNDATION 国際交流基金/東南アジア https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/dl/survey2021/s_east_asia.pdf

ベトナムの日本語教育事情

日本語教育の歴史

ベトナムの日本語教育の歴史は、1961年にハノイ貿易大学にて日本語教育がスタートしたことから始まります。1973年にハノイ外国語大学(現ハノイ大学)で日本語教育が開始しました。1992年にはハノイ国家大学外国語大学、ホーチミン市国家大学人文社会科学大学で、1993年にはハノイ国家大学人文社会科学大学で日本語教育が開始しました。日本語学習者が増えたことから、1996年にハノイ市で、さらに2000年にはホーチミン市で「日本語能力試験」がスタート。2002年にベトナム日本人材協力センターがハノイとホーチミンに開設され、日本語コースがスタートしています。2007年からは高等学校において、単位が取得できる正式な外国語科目となりました。2022年には、ハノイ市の小学校3校で第一外国語としての日本語学習が正規科目として承認されています。

日本語を学習するきっかけ

教育機関での日本語学習は、まだ一部だけですが、日本での就職や留学、技能習得を目指して日本語を学習する人が増えてきています。日系企業への就職や昇進のために学ぶ人もいます。また、アニメやマンガなどの日本文化への興味がきっかけとなり日本語の学習をスタートする人も少なくありません。

学校教育での日本語

2003年に一部の小学校の選択科目として英語教育がスタートし、2008年に「国家外国語プロジェクト」が立ち上がりました。2016年からハノイ市で4校、ホーチミン市で1校が第一外国語として日本語を試行導入。2019年から普及段階に移行することが承認され、ハノイ市の2校において日本語教育が継続されることになりました。英語の次に第一外国語として導入されたということです。中等教育では、2003年の「中等プロジェクト」の立ち上げに伴い、ハノイ市の中学校の課外授業として日本語教育が開始しました。その後、段階的に普及していき、2021年の海外日本語教育機関調査結果では、中学校87校、高校45校で日本語教育が実施されています。高等教育においては、日本への就職機会が増えてきていることや日系企業が好条件で求職しているケースが増えていることから、日本語教育が導入されている大学が増えました。語学系以外にも、法科、理工、医療、福祉等、様々な学科において日本語授業が導入されています。

学校教育以外での日本語

日本での技能実習などの予備教育として日本語を学習する人が多いのが特徴です。大都市以外に地方年でも予備教育を行う機関がでてきています。他に、民間の語学センターやそれらと提携した大学、企業内などで日本語教育が提供されています。

参照元:【pdf】JAPAN FOUNDATION 国際交流基金/ベトナム(2022年度) https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2022/vietnam.html

ベトナム人の文化について

ベトナムからは、技能実習生が多く来日しています。訓練校で日本語を勉強してから来日しますので、基本的な会話ができる人が多いです。ITスキルが高い人材も多く、日系企業や日本での就職をしている人も少なくありません。ベトナム人にとって日本は近しい国であり、親日国家と言えます。

ベトナムは仏教徒が多い国ですが、儒教、道教が混ざり合った宗教観を持っていることも少なくありません。寺院でのお祈りの慣習があります。また、殺生を慎むという仏教の考えから肉食を避けるケースもありますが、僧侶や熱心な信者以外では肉食をする人も多いです。

ベトナムは旧正月(テト)を祝う慣習があります。ベトナム国内では労働法でテト休暇が5連休と定められています。日本の正月休みと日程が異なることはもちろん、毎年休暇の日程が異なることに注意が必要です。振替休暇などで7連休になることもあります。

ベトナムについて
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ベトナム人にはレベルに合わせた日本語教育が必要

ベトナムからは、技能実習生として来日する人が多いのが特徴です。基本的な日本語は、来日前に訓練校で勉強しています。学校での日本語学習は一部にとどまっていることから、日本語力には個人差があります。レベルに合わせた日本語教育を提供することが大切です。ベトナム人を採用する際は、旧正月のテト休暇に配慮する必要があります。