現場の声から分かる
外国人介護士
活躍までの道のり
介護現場の人材不足解消はもちろん、事業拡大のためにも外国人人材の活用は避けては通れません。このメディアでは受入れ方法から教育、定着に至るまで、必要なノウハウと情報をお伝えします。
少子高齢化により多くの業種で人手不足が叫ばれる昨今、外国人労働者数は約182万人と、過去最高を更新。そのうち福祉・介護事業に従事する外国人労働者と事業所数もここ5年で右肩上がりの状況が続いています。
介護業界は特に人材不足が顕著なため、今後の外国人介護人材の活用は必要不可欠と言えます。ここ数年で新たな在留資格が創設されたり、制度の在り方についても日々議論されているので、採用を検討しているなら日々の情報も常にキャッチアップしておきましょう。
外国人介護人材を採用し、活躍してもらうためには大きく分けて3つのポイントがあります。それぞれで求められる取り組みを行うことで、将来的な外国人介護人材定着に繋がります。ここではポイントごとに必要な情報をそれぞれまとめました。
現在働いている 外国人介護人材 |
18名 |
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在留資格 | EPA 13名 特定技能4名 他1名 |
国籍 | インドネシア フィリピン ベトナム ネパール |
現在働いている 外国人介護人材 |
40名 |
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在留資格 | EPA 33名 特定技能2名 他5名 |
国籍 | インドネシア フィリピン ベトナム |
現在働いている 外国人介護人材 |
16名 |
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在留資格 | EPA 12名 特定技能4名 |
国籍 | インドネシア フィリピン |
外国人介護人材を受け入れる制度は、特定技能・技能実習・特定活動(EPA)・在留資格「介護」の4種類があります。4つの制度について、概要を解説します。採用基準などに細かな違いがありますので、確認していきましょう。
概要と目的 | 特定技能は、国内における生産年齢人口の減少に伴い、人材を確保することが難しい状況の産業分野に、一定の専門性・技能を有する外国人を受けいれることを目的とする在留資格。一般的な特定技能資格である「特定技能1号」と、より熟練した技能が求められる「特定技能2号」に分けられますが、介護に関しては2号はありません。 |
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在留期間 | 最長5年(介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更することで永続的な就労が可能) |
特定技能の場合、一般的に「ある程度日常会話が可能で、生活に支障がない程度の日本語能力」、もしくは「介護の現場で働くにあたり必要な日本語能力」が求められます。これは日本語能力検定試験における“N4”程度を指すと言われており、基本的な語彙や身近な漢字を理解できる(読み)、ゆっくりと話してもらえれば内容をほぼ理解できる(聞く)、が目安です。
介護特定技能評価試験に合格するレベル(入国前の試験等で技能水準を確認)
雇用後すぐ(※一定期間(6か月程度)他の日本人とチームで従事する体制とする必要あり)
身体介護業務等(訪問サービスは対象外)
可能
可能
全国の登録支援機関
概要と目的 | 正式名称を「外国人技能実習制度」と言い、日本で培われた技術や知識などを開発途上地域等に伝えることで、その国の経済発展を担う“人作り”に貢献する目的があります。日本企業が海外の現地法人(取引先や合弁企業含む)と連携して行う「企業単独型」と、監理団体が技能実習生を受け入れてから、傘下の企業等で技能実習を行う「団体監理型」に分かれるのが特徴です。 |
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在留期間 | 最長5年(介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更することで永続的な就労が可能) |
技能実習生として求められる日本語能力は、目安として日本語能力検定試験の“N4”程度だと言われています。これは基本的な語彙や身近な漢字を理解でき、かつ話すペースがゆっくりであればヒアリングした内容をほぼ理解可能、というのが基準。生活に支障がない程度、もしくは介護の現場で働くために必要な日本語能力の習得が望ましいと考えて良いでしょう。
団体監理型:外国にて同等の介護業務従事経験があること、
企業単独型:受け入れる事業所と近しい関係にある外国の機関の事業所の職員であること
就労開始から6ヶ月以上経過後
身体介護業務等(訪問サービスは対象外)
可(技能実習におけるガイドラインに要件を記載)
原則不可
全国の監理団体
概要と目的 | 介護業界における経済連携協定(EPA)とは、主にインドネシア、フィリピン・ベトナムの3か国と日本が結んでいる経済関係強化を目的とした協定のこと。日本と相手国の経済上の連携を強化する観点から、公的な枠組みで特例的に行うもので、労働力不足への対応を目的としていません。「EPA介護福祉士候補者」と認められた外国人は、日本の介護施設で介護福祉士の資格取得を目指しながら研修を行います。国ごとに要件が細かく異なります。 |
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在留期間 | 原則4年(※国家試験に合格した候補者は、「EPA介護福祉士」となります。「EPA介護福祉士」になると、在留資格「介護」と同様、家族帯同や永続的な就労が可能になります。在留資格「介護」に変更することも可能です。) |
EPAの候補生は、就労開始時点で日本語能力検定試験における“N3”程度の語学力を有しているのが望ましいと言われています。これは「日常的な場面で使用される日本語をある程度理解できる」のが目安で、新聞の見出し等を読んで概要を掴める、難易度が高い日本語も言い換え表現があれば理解できる、などが特徴です。
母国の看護学校での実務経験、または母国政府による介護士認定(フィリピン・インドネシア)
就労開始から6ヶ月以上経過後
介護保険3施設、認知症グループホーム、特定施設、通所介護、通所リハ、認知症デイ、ショートステイ(資格取得前は訪問サービスに関する制限あり、資格取得後は一定要件を満たした事業所の訪問系サービスであれば対応可能)
可能(雇用して6か月経過、もしくは日本語能力試験 N1or N2合格が条件)
原則不可
公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)
概要と目的 | 在留資格「介護」は、外国人が介護施設で働くための就労ビザの一種。既に介護福祉士の国家資格を取得した人が、日本の会社や介護施設と雇用契約を結ぶのが特徴です。一般的には留学生として入国し、養成施設で資格を取得する方法と、技能実習生や特定技能などで入国し、3年以上就労したのち資格を取得する方法があります。「養成校ルート」の卒業後、5年間継続して就労したら「介護福祉士」になる特例があります。(※令和8年度卒業まで) |
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在留期間 | 永続的な就労が可能 |
在留資格「介護」の場合、指導者としても就労可能なため、比較的高い日本語能力が求められる傾向があります。事前に養成施設で資格を取得する場合は、「日本語能力試験JLPTでN2以上に合格、あるいは日本語試験でN2相当以上」と具体的な入学条件が定められているケースも存在するようです。
介護福祉士資格
雇用後すぐ
制限なし
可能
可能
なし
それぞれの制度のメリット・デメリット・どんな事業者に向いているのかをまとめています。
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EPA制度では、看護の経験を持つスタッフが多いため、即戦力となれる人材が多いと思います。また、 皆介護福祉士試験合格を目指しているので、仕事はもちろん勉強に対しても真面目に取り組む印象です。
EPAは支援金も出ますが、業務可能範囲が限られていることと、毎年の受け入れ人数に上限があるため、必ずしも希望通りに採用できるとは限らないのがネックです。
今後更に倍率は高くなるはずなので、通年採用可能な特定技能も選択肢の一つです。
上記の4つの制度のうち「技能実習」は、制度の歴史は長いものの、労働者側にとって不公平・不平等な点が多いことから、長年批判されてきました。2023年4月に政府の有識者会議が、人材の確保と育成を目的とした新制度をつくることを提言したことで、技能実習制度は今後、廃止へと舵が切られることになります。
そのため、これから外国人介護士の採用を検討するなら、ここ数年で急激に普及している特定技能制度か、受け入れ人数に上限があるものの、人材としては優秀なEPA制度の利用を推奨します。
EPA制度を利用する場合、唯一の斡旋機関であるJICWELSに問い合わせる必要がありますが、特定技能制度での人材紹介を手掛けている会社(登録支援機関)は全国各地にあります。以下では、特定技能での介護人材紹介サービスを手掛ける会社をまとめています。
外国人介護人材を採用する方法のひとつは、斡旋機関です。EPAは公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)を通して斡旋してもらえます。特定技能は登録支援機関、技能実習生は監理団体に依頼してください。
養成校との連携もポイントです。養成校の卒業生は即戦力として活躍してくれます。現地の日本語や日本国内の介護士養成学校と提携しておけば、求人を出すことが可能です。養成校側から就職先のひとつとして紹介してもらえるように、普段から連携を取っておきましょう。
他には、複数の介護施設でコンソーシアムを組む方法もあります。募集から選考までを共同で行うと、職業紹介事業になり届出が必要になるため、届出機関としない場合は参加施設がそれぞれに選考する形態にすることが重要です。
人材紹介会社も増えています。手数料はかかりますが、施設の採用にかかる負担を大きく軽減することが可能です。介護職に関心を持つ外国人とのマッチングを探ってもらえます。
外国人介護士を受け入れる上で、上司や同僚となる日本人スタッフから理解を得ることにハードルを感じてる方もいるのではないでしょうか。想定される懸念や、問題を回避するポイントなどをまとめました。
外国人介護職員を受け入れる上で、準備すべきことは何か。お互いが気持ちよく仕事をし、共に成長できる環境を整えるためにも、必要なことをまとめています。
外国人介護職員の受け入れに必要な費用について説明。受け入れに必要となる金額は、在留資格のタイプや日本語能力、介護技術の習熟度などによって、またサポートを外部委託するかどうかによっても異なります。
留学生や特定技実習生、EPA候補生などを受入れて、働きながら介護福祉士の国家資格を取得してもらうための、マッチングの方法やコツなどについて紹介します。
社会福祉法人 平成福祉会
山梨県の東部において、高齢者福祉施設を運営する社会福祉法人 平成福祉会。 首都圏の中心部からおよそ70Km離れた緑豊かなこの施設では、2018年から外国人介護士の受け入れを開始。 今日に至るまでのプロセスや受け入れの実態について取材しました。
社会福祉法人 福祉楽団
千葉県と埼玉県を中心に9つの拠点で福祉事業・サービスを展開する社会福祉法人 福祉楽団。2008年から外国人介護士を受け入れていることで、先進的な印象を持たれることも多いそう。そんな福祉楽団には、ずっと大切にしてきた一つの理念がありました。
社会福祉法人 五霞愛隣会
茨城県猿島郡にて特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人 五霞愛隣会は、2017年ごろから外国人介護士を受け入れています。お互いに気持ちよく働くために、五霞愛隣会が受け入れ前に大事にしていたこととは。
採用、受け入れ、コミュニケーション、試験…etc。すべてのフローにおいて立ちはだかる大きな壁が、日本語能力です。京都府社会福祉協議会が行ったアンケートによると、外国人介護人材の受け入れにあたって、法人側が課題に感じていることは「日本語のコミュニケーション」と「日本語の読み書きができるかどうか」と、日本語能力に関するものが上位を占めていました。
人によりますが、いくら来日前に勉強してきていると言っても、実際は思っていたより伝わらないなってことが多かったですね。なので当人のレベルに合わせて割り振る仕事とかを調整していました。
来日前は全く日本語を話せてなくて心配だったんですが、来日後は見違えるほど成長してくれて安心しました。現地で研修を行うEPA制度を利用したので、ある程度話せると思っていましたが、最初からこちらが期待するレベルにまで達している子は少ない印象です。
日本語能力試験のレベルは
あくまで一つの基準。
期待し過ぎることなく、
来日後も本人のレベルに合わせた
サポートと
継続的な日本語学習支援が必須
母国を離れ、慣れない日本という国で介護の仕事を志す外国人介護士たちは、どのようなキャリア設計を描いているのでしょうか。本人達の意向を踏まえた受入れができるよう、ここで把握しておきましょう。
技能実習は元々、母国へ帰ることが前提の制度ですが、実習生のおよそ半数が、3年間の実習終了後も日本に残って介護の仕事がしたいと希望しています。
技能実習生を受け入れている法人側も、およそ7割が介護福祉士の資格を取って欲しいと要望しています。
意欲が高い特定技能に至っては、約9割の外国人が日本で働き続けるために、介護福祉士の資格を取りたいと考えています。
EPA制度は介護福祉士資格取得が主な目的のため、斡旋機関によって学習面の一定の支援が行われていますが、定員が限られており、今後倍率はさらに高まることが予想されます。
そのため、技能実習や特定技能での採用も必然的に検討することになるので、「自分達でどのように学習支援を行うか」が、今後はカギになってくるでしょう。
数は少ないですが、中には受験前に帰国してしまった外国人もいました。来日前はやる気に満ちているけど、来日後に気持ちが変わったり、帰国せざるを得ない事情が発生したりするケースは往々にしてあると思います。
来てくれるのは比較的若い方が多いので、やっぱり多少は遊びたいんですよね。もちろんその気持ちは分かりますが、仕事として来てもらっているので、試験が近くなってくると勉強の成果が如実に点数に表れます。なのでこちらから発破をかけることも必要だと思います。
介護福祉試験の難易度の高さも原因?
現在の制度で外国人介護士が日本で5年以上働くためには、基本的には介護福祉士の資格取得が必須(※)です。けれども、外国人の介護福祉士の合格率は38%と、全体の合格率の70%と比べると、およそ半分の合格率となってしまっている状況。日本で働き続けたいと思っている外国人介護士にとって、介護福祉士試験合格は、目標でもあり大きな壁でもあります。
今後は介護福祉士資格取得を
前提とした学習サポートを行うことが、
モチベーション維持にも繋がる
2023年2月1日時点、介護人材向けの日本語教育プログラムを提供している企業は41社ですが、その内介護福祉士の試験対策が可能と公式サイトに明記されている企業は9社でした。通期講座かスポット講座か、今働いている外国人の状況に合わせて選ぶことをおすすめします。
※通期講座:確実に合格するために、年単位で計画を立てながら学習を進めるプログラム
※スポット講座:直近に迫った試験に向けて、苦手分野や特定の項目に注力して対策を行うプログラム
介護福祉士資格取得を目指す外国人介護士のモチベーションをどう維持させるかが、管理者にとっては課題の一つ。ここでは、"学習の持続性"に強みがある日本語教育プログラム「ZENKEN NIHONGO 介護」を特集。実際に導入している福祉法人への取材を通し、その仕組みを解説します。
介護士が不足しているのは日本だけではありません。ドイツや韓国など、世界中でその傾向が見られます。日本の介護士の賃金は世界と比較しても決して高いとは言えず、また大幅に今後上昇することも考えにくい状況です。
特定技能で受け入れた外国人スタッフは既に他の法人に転職しています。加えて私たちは地方の施設なので、これからの採用は更に難しくなるんじゃないかと思っています。
採用後の育成はもちろん大事ですが、法人のケアの考え方や理念を理解して入ってきてもらうことも、お互いに長く働く上ではとても大事なことだと思います。
採用した外国人スタッフの後輩、あるいは兄弟を紹介されることは過去にありました。施設の評判はすぐに外国人コミュニティや後輩たちに伝わるので、真摯に向き合ってサポートしていれば、いい効果が生まれていくと思います。
外国人・日本人関係なく、
働く介護士の希望に合った
働きやすい環境整備が継続的な
人材獲得の要
日本人はもちろん、外国人にとっても魅力的な職場にするためには、効率化のためのシステム活用はもちろん、組織内の人間関係や心地よさといったソフト面の改善も欠かせません。ここでは両方の面からできることを探っていきます。
実際に外国人が活躍している事業所や企業はどのくらいあるのでしょうか?ここでは、在留資格ごとの特徴や、外国人材の受け入れ人数の推移について調査した結果をまとめています。
介護を必要とする人を支えるのに欠かせない日本の介護保険。3年毎に見直し・改正されており、その内容について注目されています。ここでは、これまでに改正された介護保険の内容について解説しています。
発展途上国への技術提供を名目としながら、実際には人手不足を解消するために利用する事業者が多い技能実習制度。トラブルも多く、将来的に廃止される議論が進んでいます。背景や現在の議論の状況を紹介しています。
当サイト「ケア・いろ」は、海外人材と日本企業のマッチング事業を行うZenken株式会社が制作しました。私どもは、人手不足の深刻化が予測される「医療・福祉サービス」業界の中でも、とくに2025年時点で32万人の人材不足が課題となっている介護業界に着目し、Zenkenが持つ語学教育(日本語・英語)、文化教育、人材紹介などのリソースを活かし、介護事業に参入しました。
国内企業においては海外人材受け入れに対する不安も大きく、とくに「日本語による業務遂行」「習慣等の違い」「コミュニケーションできる仕事に限りがある」の3つに対して不安視する声が多く聞かれます。そこでZenkenグループでは2022年、受け入れ先となる事業者が抱える不安要素に対するソリューションの提供として、海外介護人材活用フラグシップ施設を運営開始。実際の現場成功モデルを事業者に見て頂くことで、顧客の開拓・海外介護人材紹介サービスの提供へと繋げていきます。当サイトが外国人介護人材の受け入れ、定着を目指す法人の皆様の一助となれば幸いです。