2021年の介護報酬改定で運用が開始されたLIFE(科学的介護情報システム)。システムを理解してから利用したいと考えている事業者のために、LIFEの概要や目的をはじめ、加算や利用するメリットについて解説します。
LIFEとは「Long-term care Information system For Evidence」の略であり、日本語では科学的介護情報システムといいます。
介護サービス利用者の状態や、介護施設等で行っているケアの計画などの情報を入力すると、インターネットで厚生労働省に送信されます。送信したデータが分析され、フィードバックされるというシステムです。
介護の現場におけるPDCAサイクルを回すためのツールでもあります。2017年に運用開始したVISTと、2020年に運用開始したCHASEをブラッシュアップし、2021年から2つを統合したLIFEの運用がスタートしました。
LIFEの目的は、科学的根拠(エビデンス)に基づく介護による自立支援、重度化防止につながるケアの実践です。現場からデータを収集、蓄積して分析を行いフィードバックすることで、さらに科学的介護を推し進めるために役立てられます。
「2021年度(令和3年度)介護報酬改定に関するアンケート調査(全編)」において、「データ登録まで終えている」と回答した割合がもっとも高かったのは老健で、52.4%でした。次いで通所リハの44.3%、特養の38.8%となっています。
通所介護と認知症対応型通所介護はどちらも3割程度と低い割合です。しかし「利用申請を終えてデータ登録ができる」「利用申請中」「利用申請予定」まで含めると特養では88.2%、通所介護では78.1%に達していました。
LIFEの利用に意欲的であることがわかります。一方で、介護サービスの約1〜3割は「利用申請する予定がない」と回答している状況です。理由の上位2つが、システムへのデータ登録が負担、システム全体の理解が負担というものでした。
利用にはインターネットに接続されたパソコンが必要です。LIFEのサイトで新規利用申請を行うと、厚生労働省からLIFEを利用するために必要な情報が記載されたはがきが送付されます。
URLにアクセスし、LIFE起動アイコンのダウンロードや、その後必要な設定を完了すれば、LIFEの活用をはじめられます。
LIFEの加算対象となるサービスは上記のとおりです。
個人の経験に頼るのではなく、科学的根拠に裏付けされた質の高い介護を提供できるのがLIFEを活用するメリットです。施設や職員によって判断や考えが異なると、提供する介護に差異が出ます。LIFEの活用は、そういった提供する介護のばらつき軽減にもつながります。
現場ではフィードバックを活かすことで、介護計画書やケア内容の改善にも役立つでしょう。
介護福祉士が自信を持って適切かつ質の高い介護を提供できれば、サービスを受ける利用者にとっても大きなメリットになります。
LIFEの活用等が要件となっている多数の加算があります。要件を満たすことで加算を受け取れるのもLIFEのメリットです。
代表的なものに、科学的介護推進体制加算が挙げられます。LIFEで利用者のデータを提出し、フィードバックを活かしたケアの改善や向上、科学的介護を推進する取り組みが要件です。
そのほかにも口腔衛生管理加算やADL維持等加算など、様々な加算にLIFEによるデータ提出が採用されていることからも、介護サービスにおいてLIFEの活用がメリットとなることがうかがえます。