国籍に関係なく、日本で働く労働者に適用される法律の一つに雇用対策法があります。ここでは雇用対策法の特徴や法的義務、違反時の罰則等について紹介します。雇用対策法に興味のある方はぜひご覧ください。
参照元:e-gov「法令検索」(【PDF】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=341AC0000000132)
雇用対策法は、経済・社会の発展のために完全雇用の達成を目的とした法律です。労働者の職業の安定や経済・社会的地位の向上が明記されています。時代と共に法律も少しずつ変化しており、近年では少子高齢化・労働者人口不足の問題に対応して、青少年の応募機会拡大や募集・採用に関わる年齢制限禁止、外国人の適正な雇用管理などが追加されました。
労働市場の政策・基本方針や全体像を明らかにするための法律であり、「指針」として企業に遵守が求められます。最近では少子高齢化の影響により、外国人労働者に対する方針が示されていますが、企業がこれを遵守することが求められます。
性別、年齢、障害などに基づく差別禁止規定が定められています。雇用機会とは、雇用の入口です。例えば、「男性のみ」や「女性のみ」での募集は禁止されています。これは、性差別を行うことで平等な雇用機会を提供しないことになるからです。
正規雇用と非正規雇用の扱いを均等にし、雇用の安定化を目指す取り組みです。正規雇用と非正規雇用の差をできるだけなくすことで、労働者の生活を安定させることを目指しています。
失業者やキャリアチェンジ希望者への再就職支援サービスと職業訓練プログラムが提供されています。失業しても、新たにチャレンジできる環境を提供するための支援サービスが規定されています。
企業が法律に基づき作成・公示しなければならない雇用規則の内容と手続きを示しています。企業側の「気分」や「感覚」ではなく、規則に基づいた雇用を行うための施策です。
労働契約における労働条件の明示義務があり、詳細を記載するよう求められています。賃金だけでなく、労働内容を明示し、労働者に選択肢や判断材料を提供するためのものです。具体性のない文言での労働者募集によるトラブルを防ぐ目的があります。
雇用対策法は法律として定められていますが、罰則はありません。ただし、事業主に対して助言・指導・勧告が行われることがあります。厚生労働大臣の判断次第では、これらに従わない場合に内容が公表されることもありますので、公表による企業のイメージダウンは避けられないでしょう。「罰則がないから守る必要がない」とは言えません。
違反を避けるためには、内部監査や研修など適切な対策の実施が求められます。自社だけでは難しい場合、第三者に委ねることも一つの方法です。
雇用対策法には罰則はありませんが、外国人を雇用する企業側が遵守すべきものです。もちろん外国人だけでなく、日本人に対しても同様に遵守しなければならないものです。外国人を雇用する場合には特に留意しておきましょう。