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労働基準法とは?

労働基準法は外国人材だけではなく、日本で働く人すべてに適用される法律です。「外国人材だから守ってもらう」といった類のものではなく、国籍を問わず日本で働くすべての人が守らなければならない法律となり、雇用主はきちんと把握しておく必要があります。

参照元:厚生労働省「愛媛労働局」(https://jsite.mhlw.go.jp/ehime-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/hourei_seido/2090402.html)

労働基準法の基本とポイント

労働基準法は、労働者の権利を守るためのものです。「労働者のためもの」ではありますが、労働者よりも労働者を雇用している雇用者側こそ、守るべきものです。ここでは、労働基準法の3つのポイントを紹介します。

参照元:e-gov「法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049)

労働時間・休憩・休日に関する規定

労働基準法では労働時間や休憩、さらには休日が規定されています。具体的には1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならないこと、6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩や毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を付与することが記載されています。

上記の遵守は絶対で、例え当事者間での合意があるとしても合意よりも法律が上です。仮に合意しているとしても上記を遵守しなかった場合、労働基準法違反となります。

最低賃金・残業手当・その他の給付に関する法的要件

労働基準法では最低賃金や残業、有給などに関する細かい規定も明文化されています。ただし最低賃金は地域によって異なります。そのため、会社と労働現場が異なる場合は注意が必要です。また、有給休暇は決して正社員だけに付与するものではありません。

6ヶ月継続勤務した者が、全労働費の8割以上を出勤した場合に10日付与することが規定されています。ただし、継続勤務1年毎に1日、継続勤務3年6ヶ月以上は2日ずつを増加し、最高で20日の有給休暇を与えることが明文化されています。

安全衛生および労働者の健康を守るための規定

労働基準法は、労働のための条件だけではなく労働環境にも及び、安全衛生に配慮し労働者の健康を守るための環境構築を推進しています。劣悪な環境での労働ではなく、労働者が健康を害するリスクのない環境を構築することが求められています。この点に関しては他の項目と比べると少々抽象的・感覚的なものではありますが、働いている従業員に健康被害が発生した場合、安全衛生や健康を守るための環境ではないと判断されます。

外国人労働者特有の法的考慮事項

労働基準法は決して国籍で変わるものではありません。外国人材であれ日本人であれ、「労働者」を守るための法律ですが、外国人材特有の考慮すべき点もいくつかあります。

ビザと労働許可の要件

外国人材が日本国内で働く場合、就労ビザが必要です。永住者やその家族など日本人同様の権利を有する外国人材もいれば、特定技能のようにあくまでも該当する職種のみで働く権利を持つ外国人材もいます。そのため、外国人材を雇用するにあたっては、就労ビザ・労働許可の要件を確認しておきましょう。

言語および文化的配慮、適切なトレーニングとサポートの重要性

外国人材を雇用するにあたってはビザのように手続き的な面もあれば、実際に現場で働く場合には言語や文化の違いなどの問題もあります。

労働基準法では、「労働者の快適な環境を」とありますので、言語や文化的な配慮に関する適切なトレーニング、さらにはサポートの重要性も記されています。雇用後「自力で頑張れ」という体制ではなく、職場全体で外国人材が働きやすい環境となるよう導くことが求められます。

労働契約書の言語と明確性に関する法的アドバイス

雇用契約は書類に残すことが明記されていますが、外国人材の場合、日本語で書類を残しても理解できない可能性が高いです。そのため、労働契約書の言語への配慮、さらには明確性まで求められます。

難しい言葉を使用するのではなく、分かりやすい言葉・外国人材が理解できる言葉を使用しての雇用契約書の作成や、契約書の根拠となる法律に関しても、分かりやすい説明が求められます。特に法律は専門用語が多いことから、外国人材へのサポートは重要です。

違反時のリスクとペナルティ

労働基準法違反が疑われた場合、まずは労働基準監督署による調査が行われます。違反が認められた場合には是正勧告が行われますが、この時点までは罰則はありません。ただし、是正勧告に従わなかった場合刑事事件に移行する可能性があります。企業や役員、使用者個人が送検され、悪質だと判断された場合には起訴されることもあります。

起訴された場合、裁判へと進みます。無罪を主張して争うこともできますが、有罪となった場合には禁固刑となる可能性もあります。それ以上にデメリットとなるのが会社の信頼低下です。「労働基準法を守らない会社」としての評判が広まることから、以降国籍を問わずに労働者を集めることが難しくなることが懸念されます。

労働基準法は国籍で変わるものではない

労働基準法は国籍を問わず、労働者を守るための法律です。つまり、労働者自身よりも労働者を雇う経営者・使用者が意識しなければならない法律です。「知らなかった」「当人同士で合意している」は通用しないということを覚えておきましょう。