共に業界の未来を担う外国人介護人材メディア『ケア・いろ』 » 外国人介護人材の受け入れに関するトピック

外国人介護人材の受け入れ

外国人介護人材を受け入れるまでの流れは、在留資格によって異なります。介護においては、在留資格は4つです。4種類の在留資格について理解した上で、受け入れの流れを確認していきましょう。外国人介護人材の採用方法についても説明します。

外国人介護人材の在留資格4つ

特定技能

日本の深刻化する人手不足解消のために2019年からはじまった制度です。技能試験と日本語試験に合格すると取得できます。技能実習2号を良好に修了した場合や介護福祉士養成施設を修了した場合、EPA介護福祉士候補者として在留期間を満了した場合は、試験が免除されます。特定技能在留資格での在留期間は最長5年です。

特定技能制度
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技能実習

1993年に創設された制度です。開発途上国における経済発展を担う人材育成を目的としています。1号から3号があり、試験に合格すると資格が移行でき、在留期間が更新されます。在留期間は、1号が1年、2号と3号が2年です。

技能実習制度
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特定活動(EPA)

経済連携協定に基づき運用されているのが特定活動のEPA介護福祉士候補生制度です。経済連携協定に基づき運用されているのが特定活動のEPA介護福祉士候補生制度で、国家資格の取得が目的となっています。インドネシア・フィリピン・ベトナムで介護や看護を学んだ人が、介護福祉士を目指す制度。在留期間は最長4年です。その間に介護福祉士を取得すれば、在留資格を「介護」に変更できま、永続的に日本で働けるようになります。

特定活動(EPA)
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在留資格「介護」

介護福祉士の国家資格に合格すると取得できるのが在留資格「介護」です。日本人介護士と変わらない働き方ができます。在留期間は、5年、3年、1年、3カ月のいずれかですが、繰り返し更新できるため、永続的な雇用が可能です。

在留資格「介護」
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外国人介護人材の4つの在留資格を解説
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外国人介護人材を受け入れるまでの流れ

外国人介護人材を受け入れるまでの流れは、在留資格によって異なります。

引用元:厚生労働省|外国人介護人材受入れの仕組み( https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000994004.pdf

特定技能の受け入れの流れ

特定技能での受け入れでは、介護施設が「1号特定技能外国人支援計画」を策定します。入国条件は、ある程度の会話が可能かつ介護の現場で働くために必要な日本語能力を持っていることです。試験が実施され、日本語レベルを判断します。

入国すると、1号特定技能外国人支援(義務的支援)の一環として「生活オリエンテーション」を実施します。基本は8時間ですが、すでに日本に在留している場合は4時間に短縮されます。生活オリエンテーションが終了すると、就労が可能です。

技能実習の受け入れの流れ

技能実習生は、現地の送り出し機関が事前選考を行い、日本語と介護導入講習を受講した上で日本語能力試験を受け、ある程度日本語が理解できると判断されると来日します。入国後は、監理団体による2ヶ月の講習を受けます。講習内容は、日本語と介護導入講習、法的保護講習の3種類です。その後、介護事務所と雇用契約を結び、実習がスタートします。

特定活動(EPA)の受け入れの流れ

自国で介護や看護を学んでいることが前提条件となっているのが特定活動(EPA)です。日本語能力のハードルは低め。入国後は2ヶ月半~半年で日本語と介護の研修が実施されます。研修後に介護施設と雇用・研修の契約を締結して、OJTで働きながら、介護福祉士の資格取得を目指します。

入国から4年目に国家試験を受験します。合格すると、在留資格「介護」に切り替えが可能です。不合格の場合は、帰国するか、在留資格を特定技能1号に変更して働きながら資格取得を目指せます。

在留資格「介護」の受け入れの流れ

入国後に学校もしくはOJTで介護を学び、国家資格の介護福祉士に合格して取得します。合格後は、日本の介護施設との雇用契約をもって、在留資格「介護」への切り替えが可能です。

介護福祉士を取得するルートは、介護福祉士養成学校を修了して国家試験に合格するか、EPA介護福祉士候補生、技能実習生、特定技能1の在留資格でOJTを3年以上経験して受験資格を得た後に国家試験に合格するという2通りがあります。介護福祉士養成校を修了して受験資格を得た場合、試験に不合格だった場合でも、2026年度卒業生までは、卒業後に5年間中断なく介護の仕事に就くと介護福祉士資格が取得できます。

外国人介護人材の採用方法5つ

就労・研修をしたい外国人や資格取得後の外国人を受け入れるための方法を解説します。

どうやって優れた人材と出会える?
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参照:外国人介護人材を受け入れる介護施設職員のためのハンドブック( https://kaiyokyo.net/news/03_handbook.pdf

斡旋基幹を利用する

外国人介護人材を採用する方法のひとつは、斡旋基幹を利用する方法です。在留資格によって利用する斡旋基幹は異なります。

特定活動(EPA)で受け入れる場合は、国際厚生事業団(JICWELS)です。政府開発援助や経済連携協定に関する事業を手掛ける公益社団法人で、アジア地域を中心に開発途上国の人材育成を目的とした研修事業などを手掛けています。

JICWELS(公益社団国際厚生事業団)とは
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特定技能は、登録支援機関を通して採用できます。登録支援機関は介護施設と求職者のマッチングや採用手続きなど雇用者が行うべき義務的支援を代行する機関です。複数の団体があります。

登録支援機関とは
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技能実習生として受け入れる際は、監理団体に加入する必要があります。技能実習生の受け入れや適正な実習の実施、実習生の保護といった企業へのサポートを行う非営利の団体です。

監理団体とは
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技能実習生は、送り出し機関があります。技能実習の希望者を募集して日本の監理団体に取り次ぐ役目です。技能実習生の募集・選考、監理団体への取次、出国前の研修と健康診断、送り出し後のサポート、帰国後の就労支援などを行います。

送り出し機関とは
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人材紹介会社・派遣会社を使う

求人媒体には、「採用課金型」「掲載課金型」「無料求人広告」「ハローワーク」があります。

送り出し機関とは
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また、人材紹介会社や派遣会社を利用することもできます。外国人介護人材紹介事業を行っている企業をまとめているので、参考にしてください。

外国人介護人材の紹介サービスを手掛ける会社
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養成校との連携

養成校と連携を取ることで外国人介護人材の採用がしやすくなります。養成校の卒業生は即戦力として活躍することが可能な人材。現地の日本語や日本国内の介護士養成学校と提携しておけば、養成校に求人を出して、就職先のひとつとして紹介してもらえます。また、養成校の先生が巡回指導で施設を訪れることで、信頼関係を構築することが可能です。実習の受け入れが難しくても、見学の受け入れでつながりを作れます。卒業生がすでに働いている場合は、OB・OG訪問も有効です。養成校を通じて外国人留学生に情報が届きやすくできます。

就職支援団体を活用する

外国人留学生の就職支援団体を活用する方法もあります。介護を志す外国人留学生が登録していれば、有効なアプローチになります。職業紹介事業の許可を取らずに人材紹介業を行うことはできません。法に抵触する団体ではないことを確認して活用してください。

その他の方法

友人知人からの紹介も立派な採用手段のひとつです。また施設が連携してコンソーシアムを組んで外国人留学生を受け入れるという取り組みもあります。募集から選考までを共同で行うとコストや効率的にメリットが大きいですが、職業紹介事業に該当してしまう恐れがあるため、職業紹介事業としての届け出をする予定がない場合は、各施設がそれぞれ直接選考、雇い入れを行う形態にしましょう。

外国人介護人材の受け入れ前に知っておきたい基礎知識

受入れ国による違い

受入れ国によって、文化や宗教が異なります。それぞれの文化・宗教によって配慮すべき点も違うため、注意が必要です。それぞれの国の特徴・文化について理解を深めましょう。

外受け入れ国によってどんな違いがある?
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フィリピン

フィリピンの国民性は、社交的です。穏やかな人柄が特徴で、高齢者との相性も良いと言われています。キリスト教のカトリック教徒が多く、日曜日の礼拝や毎日のお祈りの慣習があります。食事の禁止事項はほとんどありません。

フィリピン
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ベトナム

ベトナム人には、親日家が多いといわれています。素直で真面目な国民性のため、業務に対する向上心も高いです。IT分野の教育が強化されているため、ITスキルが高い人材が多いことも特徴のひとつです。宗教は仏教の人が多く、日本にも馴染みやすいでしょう。

ベトナム
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インドネシア

インドネシア人を特定技能「介護」で受け入れる際は、「IPKOL(労働市場情報システム)」と「SISKOTKLN(海外労働者管理サービスシステム)」への登録が推奨されます。イスラム教徒が多いため、断食や礼拝などの習慣に配慮が必要です。

インドネシア
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ミャンマー

ミャンマー人が海外で働く際には、スマートカード(海外労働身分証明カード=OWIC)が必要です。発行に時間がかかるため、事前に申請しておかなければいけません。ミャンマー人は、温厚な人が多いです。大きな声を出したり、怒ったりといったことは控えましょう。

ミャンマー
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ネパール

ネパール人は、英語を話せる人が多く、オープンな国民性です。国際的なコミュニケーション力に優れているといわれています。日本文化に興味を持っている人も少なくありません。ネパール人が日本で働く際は、海外労働保険への加入や海外労働者社会福祉基金への支払いが必要になることは知っておきましょう。

ネパール
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外国人介護人材を採用するメリット

外国人介護人材を採用する大きなメリットは、人手不足の解消です、日本人は労働人口が減少し、介護を必要とする高齢者が増えています。外国から意欲的な人材を迎えることで、戦力を確保することが可能です。その他のメリットやデメリットも紹介しています。

採用するとどんなメリットがある?
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外国人介護士採用の不安と解決まとめ

外国人介護士の採用における不安とは

外国人介護人材の採用において不安に感じるポイントは、やはり「言葉」です。スタッフや利用者との日本語でのコミュニケーションが不安になるでしょう。日本語を教える日本人スタッフの心構えを育成することが大切です。

外国人介護士の採用における不安とは
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日本人スタッフに外国人の採用を理解してもらうには?

日本人スタッフが外国人の採用に抵抗感を抱くおそれがあります。言葉による意思疎通が難しいことや文化の違いによるトラブルが不安を感じさせてしまうので、小さな行き違いを放置せず、丁寧に対応していきましょう。

日本人スタッフに外国人の採用を理解してもらうには?
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費用はどれくらいかかる?

外国人介護職員を受け入れるためには、費用がかかります。たとえば、採用費用は10~30万円、在留資格申請費用に10~20万円、渡航費用に10万円などです。EPA制度で受け入れる場合は、4年間で90万円前後かかります。

費用はどれくらいかかる?
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日本語レベルはどのくらい?

日本語能力試験は、N1、N2、N3、N4、N5の5段階のレベルが設けられています。N1が最も難しいです。技能実習生は、N3程度が望ましいものの、要件はN4程度となっています。EPAは、インドネシアとフィリピンの要件がN5~4程度ですが、ベトナムはN3以上です。

日本語レベルはどのくらい?
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外国人介護士を受け入れる際の問題点とは?

外国人介護人材を受け入れる際に課題となりやすいのは、「言語」「違和感」「在留期間」です。言葉が大きな壁となるのは想像しやすいでしょう。言葉が伝わりにくいことだけではなく、文化の違いから外国人介護士に対する違和感にもつながります。在留期間にも注意が必要です。

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外国人介護士の給料はいくらに設定すればいいのか

外国人介護士を雇用する際は、在留資格の種類に応じて適正な給料を支払う必要があります。特定技能制度は日本人と同等以上、技能実習制度は最低賃金以上など、ルールがあります。ルールを無視して低賃金を設定してはいけません。

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外国人介護士に夜勤を任せることは可能?

外国人介護士に夜勤を任せても問題ないのかは気になることのひとつでしょう。夜勤を任せること自体は可能です。ただし、在留資格の違いにより一部条件がありますので確認してください。緊急事態への対応など、適切な環境を整えておくことが大切です。

外国人介護士に夜勤を任せることは可能?
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外国人介護士でも訪問介護は可能か?

2024年1月現在では、「経済連携協定(EPA)」と「介護」の在留資格を持つ人材のみ、訪問介護を行えます。訪問介護においては、人手不足が深刻な状況です。外国人介護士への門戸を広げる議論がスタートしています。

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どんな準備をしておけばいい?

住宅や生活家電、携帯電話、ネット環境の手配、銀行口座の解説、住民登録、水道光熱費の引落といった準備が必要です。また、交通規則や公共交通機関の利用方法など、基本的な生活のルールを分かりやすくまとめておきましょう。

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介護人材が不足する理由は?対策も紹介

介護人材が不足している大きな理由は、少子高齢化です。介護を必要としている高齢者が増え、働き手である若者の人口が減少していくため、人材不足は避けられません。さらに、介護の仕事内容や賃金の低さなどを理由に離職する人がいる一方、人材が集まりにくい状況があります。

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