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技能実習制度は廃止される?

近い将来、技能実習制度は廃止される?このような噂を聞いたことがある人もいるでしょう。外国人を受け入れる技能実習制度の見直しについては議論も多く、その中で廃止という声も上がっているようです。ここでは、そんな日本の技能実習制度の今後の動きについて解説していきます

技能実習生の数の推移

さまざまな噂が飛び交う技能実習制度ですが、実際の技能実習生の推移を見てきましょう。厚生労働省によると、外国人技能実習生は、平成24年は151,482人、平成25年は155,214人、平成26年は167,641人と徐々に増加しており、令和2年には378,200人とおよそ1.5倍に増加しています。介護業界を見ていくと、技能実習生の受け入れを行う施設は、令和2年10月時点で18,034件、令和3年3月時点で22,858件と、こちらも増加傾向にあります。数字だけを見ると、制度が施行されてから、来日する外国人が増えていることがわかります。

参照元:法務省「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表【Excel】https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mhlw.go.jp%2Fwp%2Fhakusyo%2Fkousei%2F20-2%2Fkousei-data%2Fsiryou%2Fxls%2Fsh0600-03-a1.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK

現在(2023年5月時点)の状況

数字だけ見ると毎年増加している技能実習制度ですが、2023年5月現在、廃止に向けた動きが本格的に進んでいます。しかし、人手不足を抱える企業は、外国人材に頼らざるを得ないのが事実。

そんな問題の多い技能実習制度ですが、有識者会議では2023年4月に技能実習制度の廃止を盛り込んだ中間報告書を決定しました。新興国への技術移転による国際貢献のみを目的に掲げるのをやめ、新たに人材の確保と育成を目的とする新制度をつくる予定です。さらに、これまで原則禁止であった技能実習生の「転職」も可能にし、中長期的に活躍できる人材の確保につなげていきたい見込みです。

参照元:法務省「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表【Excel】https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fwww.mhlw.go.jp%2Fwp%2Fhakusyo%2Fkousei%2F20-2%2Fkousei-data%2Fsiryou%2Fxls%2Fsh0600-03-a1.xlsx&wdOrigin=BROWSELINK

廃止が議論されている理由

技能実習生のトラブルが後を絶たない

もともと技能実習制度は、発展途上国へ技能を移転することを目的とした「国際貢献」が背景にあります。しかしながら、実際には人手不足を解消するために利用する事業者が多いこと、さらに外国人技能実習生に対する給与未払いや、長時間労働を強いる企業が存在することが問題視されています。

なぜこのようなトラブルに発展するのがというと、技能実習制度は原則転職ができないからです。転職リスクのない人材を受け入れる側が労働条件を改善せず、技能実習生の働きやすさを無視している可能性があるのです。その結果、技能実習生が失踪してしまうトラブルが後を絶ちません。この状況を見て、技能実習制度に対する疑問の声が上がっています。

監理団体の存在が不透明

このようなトラブルに対応すべく設置されているのが、企業に実習生を仲介する「監理団体」です。技能実習制度は、受け入れ施設へ指導を行う「監理団体」を設置する必要があり、いくつかある在留資格のなかでも特徴的なポイントだといえます。

しかし、企業と実習生を仲介する「監理団体」の支援が十分でなく、パワハラや長時間労働など人権侵害にあたる行為に対する適切な措置がとれていないのが現状。実習生のSOSが届かないこのシステムについても問題視されており、技能実習制度の廃止意見につながっていると考えられています。

技能実習制度が廃止された場合の影響

技能実習制度が廃止された場合、人手不足を抱える企業にとって貴重な人材を失う痛手となります。実習生を雇う場合、渡航費や日本語習得の教育費を負担することで、実際には日本人を雇うより費用がかかることがあります。コストがかかるとわかっていても、人手不足を抱える企業は技能実習生に頼らざるを得ないのが現状。

新しい制度に移行し転籍(転職)緩和が実現された場合、育成にかかるコストだけがかさみ、社内に人材が定着しないというリスクもあります。そのため、これから技能実習生の受け入れを検討する会社側は、働き手の流出リスクに備える必要があるでしょう。また、外国人材が働きやすい環境を整備するという点についても、今後の動向に注目です。