外国人介護人材を受け入れるためには外国人雇用状況の届け出など行政手続きが欠かせません。さらに既存スタッフとのすり合わせや勤務形態・文化への理解などが必要ですので、このメディアで取り扱っているトピックを参考にしてください。
外国人介護職員の受け入れに当たっては、最初に住宅や生活家電、携帯電話、ネット環境の手配や銀行口座の開設、住民登録や光熱水道費の引き落としの手続きなどが必要です。煩雑な手続きを職員が行うことには限界があるため、登録支援機関に依頼することもできます。
基本的な生活ルール、交通規則、公共交通機関の利用方法の説明も必要になります。中でも、生活文化の違いによるトラブル防止のため、分別やゴミ出しの方法や騒音に関する注意点などは、わかりやすくまとめておくと良いでしょう。
また、食料品や生活必需品のお店や、体調不良の際の相談先などの情報も必要です。地域によっては、定期的に買い出しに連れていくなどの対応が必要な場合もあります。
災害時の対応についても確認し、サポート方法を決めておきましょう。
外国人介護職員は使い捨てにできる労働力ではなく、共に成長していく仲間です。その意識を職場全体で共有し、成長の機会を提供することが、職員の定着率向上につながります。
外国人介護職員の受け入れは、日本人スタッフにとっても成長の機会です。教育担当スタッフを中心に、異文化コミュニケーションやOJTの進め方を学び、教育体制を整えましょう。
また、定期的に面談を行い、介護士としてどう成長したいのかを確認することは、モチベーションの維持に効果的です。組織のキャリアパスと、昇進・昇給に必要な教育や研修を示し、本人の到達度をフィードバックするシステムを構築しましょう。
外国人介護職員の受け入れに対しては、「適切なケアが受けられるのか」「コミュニケーションが取れるのか」といった不安を抱く利用者や家族も少なくありません。
こういった不安に対しては、外国人介護職員は日本語と介護技能の教育を受けていること、受け入れによってケアに必要な人員が確保でき、職場の活性化や国際支援にもつながることを丁寧に説明し、理解を求めましょう。
治安の悪化を懸念する地域住民もいますが、バイアスが元になっていることがほとんどです。交流会を開いて、外国の料理を味わってもらったり、文化に触れてもらったりして、「知らないことから来る不安」を解消してもらうと良いでしょう。また、地域のお祭りなどに施設として参加することも有効です。
外国人介護職員と円滑なコミュニケーションを図るには、簡潔でわかりやすい言葉を使う、ふりがなを振る、写真や図説の入ったマニュアルを用意するなどして、誤解が生じないようにすることが大切になります。口頭で確認するだけでなく、実際に作業をしてもらうなどして、理解度を測るようにしましょう。
困ったり迷ったりした時、すぐに相談できる指導役を決めておくのも良い方法です。
また、職員によって業務の進め方が異なると混乱の元になるため、業務の標準化を進めておくことも必要です。
日本の組織は「報告・連絡・相談」を重視しますが、こうした考え方に馴染みのない外国人介護職員もいます。日本の介護はチームで行うものですから、話しやすい、相談しやすい環境づくりを心がけましょう。
「郷に入りては郷に従え」という言葉もありますが、価値観の押し付けはハラスメントになります。日本の「当たり前」は、違う文化から見れば「非常識」かもしれません。時には外国人介護職員の立場で考えてみてはいかがでしょうか。
食習慣や宗教の戒律をはじめ、外国人介護職員がどんな配慮を求めるのか、聞き取りを行なって施設内で共有するといいでしょう。
ただし、行きすぎた配慮は日本人スタッフとの間に軋轢を生みますし、外国人スタッフにも「一人前として扱ってもらえない」といった不満を抱かせかねません。
一人ひとりが無意識のバイアスを持っていることを認識し、互いを尊重する気持ちを持つことが大切という共通の土台に立つための意識づけが大切になります。
介護業界は業界全体として人材確保が喫緊の課題になっています。少子高齢化が進みゆく日本が自国内でこの課題を解決することは非常に難しいため、事業者が外国人人材の受け入れなどに積極的に取り組むことで解消を目指すしかないのが現状です。しかし外国人介護人材を受け入れるためには準備や事前知識など必要なことが多くあります。このメディアではさまざまな知識・情報を発信していますので、ぜひチェックして参考にし、準備を進めていきましょう。