外国人労働者のメンタルヘルスには、仕事上のストレスだけでなく、私生活でのストレスも理解することが重要です。雇用にあたっては、「慣れない異国の地で生活を送っている」ことを理解し、サポートすることも求められます。
日本には細かいルールが多く存在します。例えば接客や言葉遣いは「おもてなし」という日本独特の感性です。慣れていない外国人材にとっては、こうした日本の商習慣はすぐに理解できるものではなく、ストレスとなりやすいです。
また、母国ではそれなりの地位・学歴ではあっても、日本では地位・学歴を活かせない仕事に就かざるを得ない点もストレスとなりやすい点です。
企業向けに外国人材の支援事業をおこなっているピースマインドが自社に寄せられた相談内容をもとに外国人社員のメンタルヘルスについて調査したところ、7割の外国人の相談内容がプライベートに関するものでした。
まずは言語から。言葉が分からないことでコミュニケーションが取りにくくなることはもとより、日本語はほかのどの言語とも文法が似ておらず、表記もひらがな・カタカナ・漢字と多いため、覚えるのが難しいとされています。
さらに宗教の問題があります。日本は宗教に対しての意識がほかの国と比べ低い傾向があり、宗教を何よりも重んじている国の外国人材によってはそのギャップ、あるいは信仰を実践できないことでストレスを感じる場合があります。ほかにも食習慣、生活環境など母国との違いが顕著であればあるほど、ストレスは溜まりやすくなります。
また、親しい友人がいないなど、ストレスを発散する場所がない、となるとよりストレスが溜まりやすい環境になってしまいます。
外国人材の母国への文化的背景を理解し、寄り添うことでストレスの要因を軽減できます。国籍・人種を問わずに「なぜ理解してくれないのか」との思いは、人間にとってストレスとなりやすいものです。だからこそ、母国の文化・風習を理解してあげることが重要です。
「外国人材」と一括りにするのではなく、ソーシャルサポートの窓口を充実させることが大切です。困ったときに「どうすればよいのか分からない」のと、困ったときに「相談できる場所がある」のとでは、心理的に大きな違いとなります。
コミュニケーションによるストレス解消はもちろんですが、コミュニケーションをとることは信頼構築に大きく役立ちます。そのため、コミュニケーションの手法を見直し、外国人材がストレスとならない形での接し方を模索してあげましょう。
外国人材が少ない・珍しい職場の場合、どうしても特異な視線が向けられてしまう、といったストレスもあります。職場全体で多様性を受け入れるための取り組みを実践することも、外国人材へのメンタルケアの一環です。
産業医やカウンセラーのサポートが受けられるよう、外国人材が相談できる場所を作ることも対策の一つです。悩みを一人で抱えるのと、発散できる場所があるのとでは外国人材の心理的影響は大きく異なります。
話す言葉は違っても外国人材も日本人も同じ人間です。日本人と同じように、楽しいと思うこともあればつまらない、ストレスだと感じることもあります。外国人材に長く働いてもらうためにはメンタルケアは非常に重要です。今回紹介した方法で、ぜひ外国人材のメンタルケアの実践に役立ててください。