深刻な人手不足が問題となっている介護業界で、今後ますます活躍が期待される外国人介護福祉士。彼らが現場で定着し活躍するためには、キャリア支援が欠かせません。ここでは、外国人介護福祉士のキャリア展望と、キャリア支援において必要なことを解説します。
令和2年度「外国人介護人材の受入れ実態等に関する調査研究事業」によると、仕事内容に関する5年後、10年後の希望について最も多いのが「介護の技術や能力を高めたい」というものでした。
その他には「介護の日本語を教えたい」「介護施設で後輩の面倒をみたい」「介護施設で現場のリーダーになりたい」などの希望が挙げられています。一方で、「働いている施設の満足度」における「将来のキャリアに関する説明・支援」に対する満足度は、他の項目と比較すると低いという結果でした。
仕事内容に関する希望として10年後には「他の仕事(介護以外)をしたい」が3番目に多くなっているのは、職場におけるキャリア支援の満足度が低いことも理由のひとつと考えられます。
令和2年度「外国人介護人材の受入れ実態等に関する調査研究事業」によると、外国人介護福祉士に希望する勤続年数として最も多いのが「なるべく長く働いてほしい」というものでした。
長く働いてほしいと回答した事業所では、将来的に外国人介護福祉士に期待する役割として、「外国人介護職員を指導する役割を担ってほしい」「施設・事業所に定着するロールモデルになってほしい」「介護職員として技術・経験を積み重ねてほしい」などを挙げています。
しかし実際には、それらに該当する外国人職員はいないという回答が最も多く、将来期待しているキャリアと現実のギャップが大きいのが実情です。
外国人介護福祉士のキャリア志向を定期的に確認する必要があります。どのような目的を持って日本に来て、将来の目標や事業所で取り組みたいことは何か、描いているキャリアプランを確認して把握しましょう。
そして事業所側がそのための機会を提供することが、定着支援へとつながります。また、外国人介護福祉士は日々の業務や勉強に追われているため、将来的なキャリア志向を確認することがモチベーション維持にも有効です。
定期的な面談のほか、業務時間外に気軽に話し合える関係の構築ができていると、外国人介護福祉士も安心して働けるでしょう。
キャリアプランを明確に持っている外国人福祉士は、就労している事業所で将来の見通しが立たない、必要なことは学んだと判断した場合、突如辞めてしまう可能性があります。長く働いてもらうために、事業所のキャリアパスを示すことが大切です。
昇格や昇給制度、段階ごとの評価基準、そこに至るまでにかかる期間、教育体制などを整理して示すとよいでしょう。本人がどのステップにいるのか、当面の目標やその達成度などを定期的にフィードバックすることで、モチベーションの維持につながります。
この働きは外国人福祉士に限らず、日本人職員に関しても必要な定着支援です。