初めて外国人を採用しようとする際には、例えば「面接で質問の意図がきちんと通じるか?」「文化的な背景などから聞いてはいけないこともあるのでは」といった形で不安を感じることもあるかもしれません。そこでこちらの記事では、外国人を採用しようとする際に確認しておく内容や、面接時で注意するポイントなどをまとめました。
面接の前に、「そもそも就労可能か」という点を確認する必要があります。具体的には、下記の内容を確認しましょう。
外国人の方が、就労が認められる在留資格を持っているかは、外国人登録証明書またはパスポート面の上陸許可、在留資格変更許可、在留期間更新許可証印、または就労資格証明書などで確認できます。
「特定技能」とは、人手が不足しているとされる12の分野において、外国人が就労可能な在留資格を指しています。また、特定技能外国人とは、この特定技能を保有している外国人を指します。特定技能外国人を採用しようとする場合には、試験に合格しているかどうかを確認するために、合格証書を提出してもらいましょう。
外国人が日本に滞在できる期間を示す「在留期間」を確認することも必要です。在留期間は、外国人登録証明書に記載がありますので、こちらで確認をしてください。
もしも韓国など兵役が義務付けられている国籍の外国人を採用する場合には、兵役を終えているかどうかを確認しておくと無難です。国によっては大学在学中などに兵役を終える場合もありますが、期限ギリギリまで兵役を延期する人もいます。また、男女問わず徴兵が行われる国もありますので、事前にそれぞれの国のルールについて確認しておくと良いでしょう。
候補者の方がリラックスして話ができるように、威圧的な態度は避けましょう。できる限りフレンドリーで温厚な雰囲気づくりを意識することが望ましいといえます。
面接時には、簡単でわかりやすい日本語を使うことを意識しましょう。特に、日本語を学んでいる最中の外国人にとって敬語は難しいポイントといわれています。例えば「自己紹介をしていただけますか」ではなく「自己紹介をしてください」といったようにわかりやすい表現を使いましょう。
面接で差別発言をしないことは当然です。例えば候補者の性別や容姿などに対する差別的な発言や不要なコメントは避けてください。このような発言があった後では、さまざまな話を引き出すのは難しいと考えられます。
面接を進めていく中で、日本のマナーを守れそうか、という点は確認しておきたい部分です。具体的な例を出して、このようなマナーは守れそうかを聞くと良いでしょう。これは、候補者側が日本で働くにあたって、日本の働く文化に理解を示す姿勢があるかを確認することに繋がります。
また、候補者が日本のマナーなどに対してどの程度理解があるのかも確認しておきたいところです。この点を聞くことにより、候補者側も日本のマナーなどに関して企業側の期待値を知ることができます。
候補者のことを知るためにも、自己紹介をしてもらう必要があります。このような場合には「自己紹介をお願いします」という形で伝えましょう。
志望動機については、「弊社に応募した理由を教えてください」「弊社でどのような仕事をしたいですか」といったような形で聞いてみると良いでしょう。これらの質問は、日本で働くことに決めた理由に加えて、数ある企業の中から自社を選んだ動機の妥当性について判断する際にも役立てられます。
「これまでにどのような仕事(勉強)をしてきましたか?」「日本で働く上では、どのようなことを大切にしたいですか?」といった形で、候補者の強みや価値観などを確認できます。また、企業の社風に会うかどうかなど人柄や価値観などについても把握できるでしょう。
「日本のイメージを教えてください」のような質問は、緊張をほぐすための質問としても使うことができます。そのほか、「日本語を勉強し始めてどれくらいですか?」など日本語の学習に関係する質問で、基本的なコミュニケーションスキルや候補者の主体性などを見ることができるでしょう。
「3年後にどのようにキャリアアップをしていきたいですか?」「仕事で成し遂げたいことを教えてください」などのように、今後のキャリアや自身の人生のビジョンについて確認すると、候補者が仕事をどう捉えているかという点や、志望度などが見えてきます。
宗教に関しては、非常にプライベートな情報であるといえます。そのため、宗教についての直接的な質問は避けることが推奨されています。ただし、お祈りに関することや食事面で制限などがある場合は働きやすい環境づくりに直接関わってきますので、聞き方を工夫すると良いでしょう。
例えば「食事やお祈りなどで企業として配慮した方がいいことはありますか?」といった形で確認するのがおすすめです。
国籍や人種についての質問も避けましょう。なぜなら、質問者が側の固定概念を押し付けてしまったり、誤解を与えたりする危険性が非常に高い質問であるためです。また、国際政治に関する質問や話題についても避けた方が良いでしょう。
性別や年齢に関して質問したり、性別や容姿に対する必要のないコメントは控えるようにしましょう。
外国人と面接をしている場合、中には自分の「圧倒的な実績」について説明するケースがあります。実際の実績という可能性もありますが、中には母国の風習上、「実際の実績以上に大きく語っている」場合も。このような場合には、具体的な数字を上げてもらうなど判断しやすい情報について聞いてみることがおすすめです。
特に宗教においては、配慮が必要なケースが少なくないといえます。例えばお祈りの時間や食事について、周囲の環境を含めて準備をしておく必要があるため、事前に確認しておきましょう。「弊社で勤務する上で、配慮するべきことはありますか?」といった形で質問すると良いでしょう。
採用を考える場合には、志望動機についてもしっかりと確認しておく必要があります。外国人と日本人はこれまで異なる環境や文化で育ってきていることから、実際に同じ職場で働く段階になって、思いや言動にギャップを感じることがあるでしょう。
この点から、面接で話をする際には、「どうしてこの会社に入りたいと思ったのか」「なぜ日本で働くのか」「仕事の中でどんな経験を積みたいのか」という部分を明確にしておくことが大切です。また、このような質問をして候補者とさまざまな話をする中で、どのような人物なのかもある程度見極められるはずです。
外国人を採用しようとする際の面接のポイントについてご説明しました。事前に確認しておくことや、実際の面接での注意すべきポイントなどさまざまありますが、まずは外国人という認識を外し「採用した場合には、自社で長く働いて貢献してくれそうか」といった観点から判断することが大切です。
言葉や思想などの違いはあるかもしれませんが、業務上ではそれほど支障がないことも多くあります。そのため、あくまでも「自社へ貢献してくれるか」を基準として採用を行っていきましょう。