外国人を採用するときに気になるのは、日本語力です。インドネシア人の日本語力はどのようなレベルでしょうか?
ここでは、インドネシアにおける日本語教育についてまとめました。日本語教育を提供する際に不可欠なのは、相手国の文化への理解です。インドネシアの文化も紹介しています。
インドネシアは、東南アジアの中で、日本語教育機関数が最も多い国です。主に後期中等教育から学習していますが、2013年から日本語が必修科目ではなくなったため、それ以前と比較して学習者数は減少しています。減少幅は年々小さくなっており、専門高校での日本語教育が増えています。日本語そのものへの興味やアニメへの興味をはじめ、日本での就業を視野に入れた学習者も多いことから、日本語力が高い国と言えます。オンライン環境が未整備の地方が多いことが今後の課題です。
1942年から1945年にかけて、日本軍占領下で日本語の普及政策がおこなわれました。全教育機関において、必須科目となります。元々多言語文化のインドネシアを効率的に統治するため、現地の著名な人文学者を総動員して、インドネシア語を体系化して公用語として普及させています。
戦後の1958年、国交が樹立して、人材育成による賠償を行うという協定が締結されました。日本文化学院にて、日本語教育がスタートします。1960年度から1965年度の間に、381人の留学生が来日し、日本国内の大学に進学しました。1961年にコロンボ計画による日本語教育専門家を日本文化学院へ派遣。1962年に高校での日本語教育が選択外国語という形でスタートしました。1960年代にパジャジャラン大学やバンドン教育大学、インドネシア大学で日本語を専門とする学科や講座が開設されました。
1984年に高校外国語教育指導要領が改訂され、日本語が選択必須科目となります。2013年の改訂で必須科目ではなくなりましたが、それまでに日本語の教材が充実しました。
インドネシアでは、後期中等教育の第二外国語のひとつとして日本語が扱われています。学校の語学学習がきっかけで日本語を学び始める人が多いです。以前は日本語が必修科目だったことから、現在も日本語学習に対する意欲は高いと考えられます。日本語を選択する理由は、日本語そのものへの興味やアニメ・マンガなどの日本文化への興味、日本での就職が上位を占めています。
日本の小学校にあたる初等教育では、日本語を教えている機関はわずかです。選択科目や課外活動で教えている機関があります。中等教育では、中学校にあたる前期中等教育で選択科目や課外活動での日本語教育を行っている機関があります。多くのインドネシア人が日本語に触れるのは、高校にあたる後期中等教育です。第二外国語のひとつとして日本語を教えています。教育機関によって、日本語が必修か選択かが異なります。2013年に新カリキュラムが導入され、日本語学習者数が減少しました。大学にあたる高等教育では、日本語・日本文学科、日本研究学科、日本語教育学科、大学院の日本研究科において、専攻科目や主要科目として取り扱われています。
民間日本語学校、技能実習生送り出し機関、企業や政府などの組織内で、日本語教育が行われています。民間日本語学校は、初級から初中級まで、技能実習生送り出し機関ではN5~N4を目標としたコースが設定されています。オンラインコースとして、日本語学習プラットフォーム「みなと」が開講され、教師サポート付きで学習可能です。
インドネシアは、多民族・多言語国家です。700以上の言語がある環境のため、言語学習力が高いという国民性を有しています。また、外国で働くことが珍しくない文化のため、外国語を習得することに抵抗が少なく、就職を見据えた外国語学習をしている人が多いです。日本語は、その中でも人気の言語です。
インドネシアと日本は、戦略的パートナーとして、経済、政治、社会とあらゆる面で友好関係を築いています。大の親日国家で、日本に在住しているインドネシア人もたくさんいます。
穏やかな国民性は日本の国民性とも親和性が高いですが、宗教観に大きな違いがあることに配慮が必要です。インドネシアでは、イスラム教が一般的。断食や礼拝があります。また、豚肉は禁忌。豚肉を扱った厨房や調理器具での調理を拒否することもあるので、念入りなフォローが必要です。
インドネシアは、高校から日本語を学ぶ環境が整っています。多言語国家であることもあり、日本語を習得する能力が高い人が多いです。日本との親和性が高く、意欲的に学んでくれるでしょう。ただし、宗教観や文化の違いがあります。インドネシアの文化を理解した上で受け入れることが大切です。