外国人介護福祉士を採用するにあたって、言葉の壁や文化、生活習慣の違いといった様々な課題に直面する可能性があります。それらを解決し、スムーズに仕事をするためには、教育や支援体制を整えることが重要です。
ここでは、在留資格ごとに整えるべき教育支援体制を解説します。
特定技能の日本語能力の要件はN4以上です。しかし実際に就労している特定技能外国人福祉士の大半がN3であり、次いで多いのがN2となっています。要件であるN4程度でも、ゆっくりと指示されれば理解できる外国人が多いのが現状です。
しかし専門的な日本語が難しいと感じる外国人も多いでしょう。指示はわかりやすい言葉を使い、ゆっくりと伝えるなどの配慮が必要です。
さらに現場で実務をこなしながら、日本人スタッフによる日本語教育を行うなどのサポートをしていきましょう。
職場での日本語学習支援が難しい場合は、サポートを行っている会社などの外部サービスを検討するのも方法です。
また、文化や宗教にも違いがあります。日本では常識であっても、そうではない国もあることを念頭におき、丁寧に説明することが大切です。中には信仰の関係から食事への配慮が必要な外国人もいます。
相手の文化や風習、価値観を尊重した職場環境づくりを行いましょう。
参照元HP:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702.html)
参照元HP:厚生労働省【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/000952748.pdf)
技能実習生に求められる日本語能力は、入国時の望ましい水準がN3程度ですが、要件はN4程度です。2年目以降はN3程度が要件となります。
要件であるN4程度では日常的な会話はある程度理解できても、専門的な日本語が難しいと感じる外国人も多いでしょう。指示はわかりやすい言葉でゆっくりと伝えるなどの配慮が必要です。2年目以降はN3が要件となるため、試験に合格するための日本語や、実際の現場で必要な専門用語などのサポートをしていきましょう。
現場での教育が難しい場合は、外部サービスを活用するのも方法です。
また、技能実習生受け入れにおいて支援すべきことは、言語や介護の知識だけではありません。異文化や価値観を尊重することも重要です。
信仰の関係上、食事や行事などに配慮が必要になることもあります。ルールやマナーを強要するのではなく、相手の文化や風習、価値観を尊重した上で伝えるようにしましょう。
EPAに基づく受け入れはインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国からです。入国時に求められる日本語能力の要件は、国ごとに異なります。
インドネシアは令和3年度までN5程度以上ですが、令和4年度からはN4程度以上が必要です。フィリピンはN5以上、べトナムはN3以上が要件となっています。インドネシア、フィリピンの要件はN5〜N4程度以上ですが、訪日後の日本語等研修を経て、就労開始時点では大多数がN3程度に到達しています。
しかし日本語学習や介護士試験の学習で用いられる日本語と、実際の現場や日常で交わされる日本語にギャップを感じる外国人も少なくありません。
相手のわかりやすい言葉で、ゆっくりと指示をするなどの配慮が必要です。
また、インドネシアでは8割以上がイスラム教を信仰しています。ムスリムの文化や宗教観への理解が必要になることを念頭に置くとよいでしょう。
フィリピンはカトリック信者が8割を占めています。キリスト教関連の行事などを大切にしている場合もあるため、そういった宗教や価値観についても理解を深めることが支援につながるでしょう。
参照元HP:国土交通省【PDF】(https://www.mlit.go.jp/common/000116965.pdf)
慣れない言語でのコミュニケーションはハードルが高いものです。日頃から外国人介護福祉士が話しかけやすい雰囲気や関係づくりを心がけましょう。
また、日本で浸透している報告、連絡、相談が当たり前ではない国もあります。戸惑うことがないよう、組織での担当者を明確にするなど、体制を整えるとよいでしょう。
外国人介護福祉士の在留資格には、必要な日本語能力の要件があります。しかし日本語能力は人によってさまざまです。
日本語を学ぶときは基本的に「です・ます」調を使うため、くだけた表現の日常会話を理解できないといったケースもあります。
相手の日本語能力を把握した上で、理解できるわかりやすい会話を心がけたり、マニュアルの漢字にふりがなをふったりするなどの工夫をしましょう。
採用した外国人介護士に制限なく働いてもらうためには、介護福祉士資格の取得が必要です。しかし、独学で合格を目指すのは難易度が高いのも事実。ここでは、介護福祉士試験対策がある日本語教育プログラムを、長期で腰を据えて学ぶ通期講座と、短期で集中して対策を行うスポット講座別に紹介しています。施設で働く外国人スタッフの状況に合わせて選んでみてください。
日本と外国では文化や習慣、宗教などにさまざまな違いがあります。たとえば時間厳守のような日本では当たり前のルールも、すべての国がそうとは限りません。
相手や相手の国を否定するような、一方的な指導は行わないよう注意しましょう。価値観などの違いも理解し尊重した上で、守るべきルールやマナーなどを伝える必要があります。