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最低賃金法とは?

最低賃金法とは、国が定めた最低賃金を下回る賃金での雇用を禁止する法律です。この法律は労働者すべてが対象となり、日本人・外国人材を問わず適用されます。このページでは、最低賃金法の概要や企業の遵守事項についてまとめています。

参照元:e-gov「法令検索」(【PDF】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000137_20220617_504AC0000000068)

参照元:厚生労働省「最低賃金制度の概要」(【PDF】https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-09.htm)

最低賃金法の概要

最低賃金法の目的と基本的な枠組み

最低賃金法とは、国が定めた最低限度以上の賃金を支払わなければならない制度です。労働基準法第24条第1項では賃金の全額支払いが、最低賃金法第4条第1項では最低賃金額以上の賃金の支払いが明文化されています。第2項では、両者の同意があったとしても最低賃金に満たない場合は無効となることも定められています。

日本における最低賃金の種類

最低賃金には地域別最低賃金および特定最低賃金の2種類があります。両方が同時に適用される場合、高い方を採用しなければなりません。

地域別最低賃金

地域別最低賃金は、各都道府県ごとに定められた最低賃金です。地域によって最低賃金は異なり、会社の住所と労働現場が異なる場合は、労働場所の住所の最低賃金を満たす必要があります。

特定最低賃金

特定最低賃金は、特定の産業や職種に適用される最低賃金です。例えば、神奈川県の鉄鋼産業なら874円(※2024年6月時点)など、都道府県ごとに守りたい産業に対して設定されていることが多いです。

最低賃金法を守った賃金の設定方法

賃金額を時間当たりの金額に換算した際、地域・特定最低賃金として設定されている最低賃金を満たしているかを判断します。満たしていない場合、最低賃金法違反となります。

企業における遵守事項

最低賃金遵守の重要性

最低賃金法を守ることで、労働者に安心感を与えるとともに、地域経済の発展にも寄与します。労働者は同時に消費者でもあります。定められた最低賃金以上の賃金を得ることで生計を立てるため、最低賃金が高ければ高いほど地域経済が活性化し、結果的に企業の利益にもつながるのです。

最低賃金法を守らなかった場合、社会的信頼を損ねるだけでなく、人材確保も困難になるでしょう。特に近年は人材不足が深刻化しています。労働者が職を探す際には賃金は重要な判断材料の一つであり、低賃金では他社に後れを取ることになります。

雇用契約と最低賃金

雇用契約時に最低賃金を明記することが求められています。また、労働内容に関する説明責任もあり、その中で賃金についても説明する必要があります。最低賃金を理解していない労働者に対し、最低賃金以下の賃金で雇用契約を結ぶことは違反であり、最低賃金および自社の賃金を明確に伝えることが求められています。

違反時の処罰と企業の対策

最低賃金法第40条では、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わなかった雇用者には、50万円以下の罰金が科されることが明記されています。実際に最低賃金法違反で書類送検された事例も多々あります。企業は、労働者に対して適切な賃金を支払うことが求められます。違反を避けるためには、内部監査や研修など適切な対策の実施が重要です。必要に応じて、第三者機関に相談することも検討しましょう。

参照元:労働基準監督署対策相談室「書類送検された事例」(【PDF】https://www.roukitaisaku.com/zesei/souken.html)

最低賃金法は外国人でも変わらない

最低賃金は国籍を問わず、労働者の権利を保護するために定められています。雇用主として人件費を抑えたい気持ちは理解できますが、最低賃金は国の法律で定められた制度であるため、これを下回らないよう賃金を設定し、支払いましょう。最低賃金法を遵守することで、労働者の権利を守り、企業の信頼性を高めることにもつながります。