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外国人労働者が加入できる保険の種類

国籍を問わず、日本国内で働く人は社会保険への加入が義務ですが、その社会保険以外にも外国籍の方が入れる保険や、外国人材を雇う企業が加入できる保険などがあります。
ここでは外国人材が加入できる保険や保険の注意点を紹介しますので、外国人材の雇用を考えている企業はぜひご覧ください。

参照元:厚生労働省「外国人を雇用する事業主の皆さまへ」(【PDF】https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/dl/250318.pdf)

社会保障協定

日本の社会保障制度と派遣元の国の社会保障制度の両方に加入することはできません。協定が発効される前は二重に加入しなければなりませんでしたが、協定発効後は就労する国の社会保障制度のみへの加入となります。外国人材の場合、母国の制度や年金受給資格の問題などがあるため、社会保障協定の適用を受けなければ、将来的にややこしくなる場合があります。

二重加入の防止

基本的には働く国の社会保障制度に加入することになりますが、5年以内と見込まれる一時派遣の場合、働く国ではなく元居た国の社会保障制度に加入する仕組みとなっています。

元々5年を超える派遣が見込まれるケースは日本の社会保障制度への加入が原則です。5年以内の予定が5年を過ぎた場合、日本の社会保障制度への加入が原則ではありますが、両国の合意が得られた場合のみ、協定相手国の社会保障制度への加入が認められます。ちなみに日本での現地採用の場合は日本の社会保障制度一択です。

年金受給にかかる手続き

協定を結んでいる国の場合、年金加入期間は合算となります。例えばドイツで3年加入し、日本で2年加入していた場合は年金加入期間は「5年」となります。ただし、二重に加入していた場合、あくまでも「どちらか一方」としてカウントします。例えばドイツで3年、日本で2年加入していた場合で、1年間の二重加入期間がある場合、加入期間は「4年」としてカウントされます。

ただし、協定は相手国によって事情が異なります。ドイツやアメリカ、フランス、カナダなど協定を結んでいる国でも個別に注意事項が異なる国や、イギリス、韓国、中国、イタリアなどの協定では通算規定がありません。そのため、外国人材を雇用する場合、あるいは年金を受け取るときには個別に問い合わせることが大切です。

外国人労働者が入れる保険

外国人労働者が加入できる保険を紹介します。ここで紹介する保険は、ビザによって義務・任意が異なります。そのため「外国人材」とひとくくりにするのではなく、外国人材の国籍やビザまできちんと確認し、適切な保険に加入することが求められます。

労災保険

外国人材でも日本国内で働いている限り、労災保険への加入が義務付けられています。労災保険への加入は強制適用事業所の「義務」です。国籍を問わず、労働者の労災保険への加入が必要なので従業員を雇用している事業主は法人・個人事業主を問わず労災保険に加入しなければなりません。しかし、外国人材が自ら加入するものではなく、あくまでも雇用者側が加入させる保険となります。

参照元:厚生労働省「労災保険請求のためのガイドブック<第一編> 」(【PDF】https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001234743.pdf)

参照元:厚生労働省「労災保険請求のためのガイドブック<第ニ編>」(【PDF】https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001234744.pdf)

雇用保険

外国人材でも下記の適用要件を満たしている場合には、原則として雇用保険の被保険者となります。

短期労働以外は基本的に雇用保険への加入は義務です。雇用対策法第28条において、外国人材の雇い入れ時・離職時に、指名・在留資格をハローワークに届け出ることが義務付けられています。

参照元:厚生労働省「外国人を雇用する事業主の皆さまへ 」(【PDF】https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/dl/250318.pdf)

健康保険

日本は皆保険制度です。そのため、国籍を問わずに日本に住む人間は健康保険への加入が義務です。中長期在留者、特別永住者、一時庇護許可者または仮滞在許可者、出生による経過滞在者、または国籍喪失による経過滞在者が対象で、必ず健康保険に加入しなければなりません。ただし、すでにほかの健康保険に加入している外国人材の場合、加入する必要はありません。

参照元:日本年金機構「事業主の皆様へ」(【PDF】https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kaigai/konen-kenpo.files/Japanese.pdf)

厚生年金保険

厚生年金保険に関しても国籍を問わないものなので、外国人材でも1週間および1カ月の所定労働時間が同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である場合、被保険者となります。また、4分の3時間未満でも100人を超える企業で一週間の労働時間が20時間以上など、所定の要件を満たす場合には被保険者となります。上記条件は強制適用事業所となりますが、厚生年金保険の場合、すべての法人事業所と常時従業員5人以上を雇用している個人事業所の場合となります。

参照元:日本年金機構「事業主の皆様へ」(【PDF】https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kaigai/konen-kenpo.files/Japanese.pdf)

介護保険

介護保険も日本人同様に加入する必要があります。65歳以上の方は第1号被保険者、40歳から65歳未満の医療保険加入者は第2号被保険者となります。細かい条件は自治体によって異なるため、詳しい要件は住んでいる保険年金課に問い合わせましょう。

参照元:厚生労働省「介護保険制度について」(【PDF】https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2gou_leaflet.pdf)

外国人技能実習生総合保険

技能実習生向けの保険です。母国での出国手続き終了時から日本での技能実習終了後、母国への帰国手続きを修了する前を補償対象期間としたものですが、こちらは民間が提供している保険サービスなので加入は義務ではありません。加入することで内容に応じた補償を受けることができるので、日本での生活の根底に安心をもたらすことができますが、加入のためには審査が必要なケースもあります。

ただし、技能実習生ではなく受け入れ機関が支払うケースもあります。こちらも提供されている外国人技能実習生総合保険によって異なるので、詳しい条件は提供しているサイトで確認する必要があります。

都民共済

全国生活協同組合連合会(全国生協連)が運営する保険事業で、東京在住者または勤務者が対象です。そのため、外国人材でも東京に住んでいるか、あるいは東京で働いている場合には加入できます。ただし、あくまでも任意です。必ず加入しなければならないタイプではなく、加入することでいざという時の安心感を高めるための保険です。

県民共済

基本的に都民共済と同じもので、全国の県で提供されているのが県民共済です。一般的に、提供している県民共済に居住しているか、あるいは働いているかのいずれかを満たしている必要があります。

国民共済

国民共済は消費生活協同組合法に基づく連合会なので加入は必須ではありません。組合員の参加によって運営されているものなので、出資金を支払うことで誰もが都道府県生協の組合員となり、各種共済への加入が可能となります。

外国人労働者が加入できる保険は多々ある

外国人材が加入しなければならない保険・加入できる保険を紹介しました。一口に「保険」といっても様々ではありますが、外国人材を雇用する場合、加入必須の保険があるということを必ず把握し、雇用にあたりスムーズに加入できるよう備えましょう。