EPA介護福祉士とは「4年以内に資格取得を目指すEPA介護福祉候補生制度の利用者」のことを指しており、特定活動「EPA介護福祉士候補者」として来日することになります。その「EPA介護福祉士候補者」が介護資格を取得することにより在留資格「EPA介護福祉士」を得ることができるようになります。なお、このEPA介護はインドネシアとフィリピンとベトナムの3か国のみで運用されている制度です。
まずは「ビザ」と「在留資格」の違いについて知っておきましょう。まず「ビザ」ですが、これは日本大使館や領事館が日本に入国する前に発給する資格です。一方の「在留資格」は、入国管理局が審査し日本に滞在する許可を与えるものです。それぞれの位置づけを分かりやすく解説すると、ビザは日本へ入国するための「入国許可証」としての役割を果たすものであり、在留資格は日本で滞在するための「許可証」の役割を果たすものとなっています。
特定活動(EPA介護)とはEPA(経済連携協定)の枠組みに基づき、外国人が日本で介護福祉士の資格取得を目指し、研修と就労を並行して行う在留資格のことをいいます。対象国はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国です。
在留期間 | 4年間 ※介護福祉士試験合格後は無制限 |
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更新の有無・条件 | 介護福祉士資格取得後は制限なしで更新可能 |
家族帯同の可否 | 介護福祉士資格取得後は家族帯同が可能 |
永住権取得の条件 | 10年以上日本で引き続き暮らしており、就労ビザを取得してから5年以上仕事をしている場合に 永住権の取得(申請)が可能 |
インドネシアの場合、「インドネシア国内にある看護学校の修了証書Ⅲ以上取得者」「インドネシア国内にある大学の看護学部卒業者」「インドネシア国内にある看護学校、大学の看護学部以外の大学又は高等教育機関から修了証書Ⅲ以上の学位を取得し、かつインドネシア政府より介護士として認定されたもの」のいずれかを満たす必要があります。
フィリピンの場合、「フィリピン国内にある看護学校卒業者」もしくは「フィリピン国内にある高等教育機関から学位号を取得し、かつフィリピン政府により介護士として認定されたもの」のいずれかに該当する必要があります。
ベトナムにおいては「ベトナム国内における3年制もしくは4年制の看護課程の修士者」という要件を満たすだけで問題ありません。その他に共通要件として「訪日前日本語研修にて、一定の日本語能力に達していること」「訪日後日本語研修、介護導入研修を修了していること」「国際厚生事業団(JICWELS)の紹介による受入機関との雇用契約を結んでいること」などの要件もあります。
インドネシアとフィリピンからのビザ取得に向けた流れとしては、要件を満たす候補者とマッチングした後、訪日前日本語研修を6か月間受けなければいけません。さらにその後「日本語能力試験」を受験し、インドネシアの場合はN4程度以上・フィリピンの場合はN5程度以上の成績を得ることでビザ取得が可能になります。その後も訪日後日本語研修を6か月間受けなければならず、受け入れ先の施設で雇用契約に基づく就労・研修を行います。
ベトナムからのビザ取得に向けた流れとしては、訪日前日本語研修を12か月間受けたあと「日本語能力試験」でN3以上の成績を残す必要があります。その後受け入れ先とのマッチングを行い、日本へ入国・訪日後日本語研修を約2.5か月間受ける・受け入れ施設で雇用契約に基づく就労・研修を行うといった流れになります。
特定活動(EPA介護)は、介護福祉士の国家資格を取得すると在留資格「介護」への移行が可能になります。在留資格「EPA介護福祉士」のままでも大きな問題はありませんが、無料の相談窓口が使えなくなるなどのデメリットもあります。具体的には、EPA介護福祉士候補者として就労して3年10ヶ月以上を修了した後、介護福祉士国家試験に合格したうえで「在留資格変更許可申請」を行うことで手続きできます。手続きの際には介護福祉士国家試験合格証明書を添付し、在留資格変更許可申請を行いますが、在留資格変更許可申請書に必要事項を記入したうえで出入国在留管理官署に提出を行います。出入国在留管理官署の審査を経て在留資格変更許可を取得できると晴れて在留資格「介護」への移行が完了することになります。
介護ビザは介護福祉士の国家資格を持つ外国人が取得できるもので、高い専門性を持った外国人労働者の受け入れを目的とした制度です。在留期間は5年、3年、1年または3ヶ月となりますが、更新回数に制限はありません。さらに、家族の帯同も可能です。
深刻化する人手不足を解消するために2019年からはじまった制度です。人材確保が難しい分野に限って、一定の専門性や技能を持つ人材の受け入れを行うことを目的としています。こちらの在留資格の場合、在留期間は最長5年となっていますが、家族の帯同は認められていません。
開発途上国における経済の発展を担う、人材育成への協力を目的とした制度です。技能実習1号から3号まであり、在留期間は最長で5年間です(在留期間延長には技能検定試験に合格する必要があります)。また、こちらの在留資格の場合には家族の帯同は認められていません。
こちらの記事では、特定活動(EPA)のビザ取得についてご紹介してきました。特定活動(EPA)は、インドネシア・フィリピン・ベトナムそれぞれで要件が変わってきますので、あらかじめ確認しておくことが大切です。また、特定活動(EPA)の概要やほかの在留資格の概要などもまとめていますので、ビザの取得について知りたいと考えている方はぜひ参考にしてください。