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特定活動(EPA)

経済連携協定に基づき、公的な枠組みで運用されているEPA介護福祉士候補生制度は、国家資格の取得に主眼を置いた制度です。この制度の特徴、メリットとデメリット、ほかの制度との違いをご説明します。

制度の概要・目的

EPA介護福祉士候補生制度は、インドネシア、フィリピン、ベトナムで看護や介護を学んだ人が、OJTで学びながら介護福祉士国家資格取得を目指すための制度。

EPA(経済連携協定)に基づく国家間の経済交流の一環で、送り出す側の雇用対策や所得増加といったニーズと、受け入れる側の人材確保ニーズをマッチングさせた取組です。

在留期間は最長4年。その間に介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」に資格が変更できて、永続的に日本で働けるようになります。

EPA介護福祉士候補生制度では、JICWELS(国際厚生事業団)が応募者と介護施設のマッチングを行なっており、個別にリクルートする必要がないという特徴があります。

申請状況

厚生労働省によると、EPAの介護福祉士候補生の受け入れ数は、制度が始まった2008年度には104人でした。受入数は増加を続け、2018年度には最高となる773人を記録。その後はコロナ禍の影響もあり、2021年度にはやや減って655人となっています。

国別に見ると、多い順にインドネシア、フィリピン、ベトナムとなっており、制度が開始された時期が早いほど受入数が多いことがわかります。

2021年度までの累計受入数は、6,417人でした。

参照元HP:厚生労働省【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/000639886.pdf)

受け入れのフロー

EPA介護福祉士候補生は、自国で介護や看護を学んでいることが前提条件となっていますが、日本語能力のハードルは低めに設定されています。そのため、入国後には2カ月半から半年をかけて、日本語介護研修を受けることになります。

研修を終えると、介護施設と雇用・研修の契約を締結。OJTで働きながら介護を学び、介護福祉士の資格取得を目指します。

入国から4年目には、国家試験が控えています。合格すれば、在留資格「介護」に切り替えて、永続的な就労が可能。不合格の場合は帰国しなくてはいけませんが、在留資格を特定技能1号(在留期間最長5年)に変更して、引き続き働きながら資格の取得を目指す道もあります。

参照元HP:厚生労働省【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496822.pdf)

日本語能力

EPA介護福祉士候補生に求められる日本語能力は、送り出し国によって異なります。具体的には、インドネシアとフィリピンがN5程度、ベトナムはN3程度。N3は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」、N5は「基本的な日本語をある程度理解することができる」レベルです。

ただし、これは入国要件です。入国後は2カ月半から半年に及ぶ研修を受けることになっており、2019年度の実績によると、就労開始時には候補生のおよそ9割(インドネシア、フィリピン共)が、N3相当を満たしていました。

技能実習生や特定技能1号の入国要件がN4程度であることを考えると、EPA候補生の日本語能力は比較的高いと言えるでしょう。

参照元HP:日本語能力試験(https://www.jlpt.jp/about/levelsummary.html)

他制度との違い

EPA介護福祉士候補生が就労可能な施設は、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、認知症グループホーム、特定施設、通所介護、通所リハビリ、認知症デイサービス、ショートステイの9種類に限られます。訪問系のサービスに従事できるのは在留資格「介護」のみで、EPAは対象外です。

夜勤の可否は、介護福祉士の資格を取得しているかどうかによります。有資格者には夜勤の制約がありませんが、未取得の場合は雇用後6カ月以上で、N2以上の日本語能力が必要です。

また、介護福祉士候補生の在留目的は、4年以内に国家資格を取得することなので、業務と並行して受験対策を行う必要があります。具体的には、週に1回の試験対策教室と、勤務時間内学習の時間を確保しなくてはいけません。

参照元HP:厚生労働省【PDF】(https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496822.pdf)

メリット

制度の信頼性が高い

EPA介護福祉士候補生の制度は、経済連携協定に基づいており、相手国との経済的な連携の強化を目的として、公的な枠組みで特定的に実施されています。

候補生を募集し、介護施設とのマッチングを行なっているのは、公益社団法人の国際厚生事業団(JICWELS)のみ。公的機関のみ運営しており、運用実績も10年以上と、制度そのものの信頼性が高いことが特徴です。

公的な支援が手厚いことは、受入側の介護施設にとっては大きな安心材料となります。

質の高い人材が確保できる

介護福祉士候補生は、インドネシア、フィリピン、ベトナムで介護の教育を受けた人に限られます。国家資格である介護福祉士の取得を前提として入国しており、介護の知識やスキルを持つ質の高い人材確保できることが、大きなメリットとなります。

この資格による在留期間は4年間ですが、資格を取得すれば在留資格「介護」に変更し、永続的な就労が可能です。資格取得後は就労条件の制限がなくなるため、訪問サービスも手掛ける介護施設にとってはメリットが大きいでしょう。

デメリット

介護福祉士候補生の入国目的は国家資格の取得であって、人材不足への対応ではありません。資格取得後は日本人の介護福祉士と変わらない就労が期待できますが、それまでは試験対策や学習の時間を確保し、サポートしていく必要があります。

また、受け入れ可能な介護施設は、JICSWELSの基準クリアして認定を受けた施設に限られます。そのため、ほかの制度と比較して採用のハードルは高くなっています。

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