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外国人介護人材の4つの在留資格を解説

外国人が介護職に就くための在留資格には「特定技能」「技能実習」「特定活動(EPA)」「在留資格「介護」」という4つの種類があります。それぞれの在留資格の特徴を紹介しますので、制度の概要と目的、在留期間など細かい内容について見ていくことにしましょう。

引用:厚生労働省|外国人介護人材受入れの仕組み
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000994004.pdf

在留資格ごとの特徴

特定技能

概要と目的 特定技能は、国内における生産年齢人口の減少に伴い、人材を確保することが難しい状況の産業分野に、一定の専門性・技能を有する外国人を受けいれることを目的とする在留資格。一般的な特定技能資格である「特定技能1号」と、より熟練した技能が求められる「特定技能2号」に分けられるのが特徴です。
在留期間 最長5年(介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」を選択することで永続的な就労が可能)
必要な日本語能力
N4以上

特定技能の場合、一般的に「ある程度日常会話が可能で、生活に支障がない程度の日本語能力」、もしくは「介護の現場で働くにあたり必要な日本語能力」が求められます。これは日本語能力検定試験における“N4”程度を指すと言われており、基本的な語彙や身近な漢字を理解できる(読み)、ゆっくりと話してもらえれば内容をほぼ理解できる(聞く)、が目安です。

必要な介護知識・スキル

介護特定技能評価試験に合格するレベル(入国前の試験等で技能水準を確認)

配置基準を満たすまでの期間

雇用後すぐ

勤務可能サービス

身体介護業務等(訪問サービスは対象外)

夜勤可否

可能

転職可否

可能

受け入れ・サポート期間

全国の登録支援機関

技能実習

概要と目的 正式名称を「外国人技能実習制度」と言い、日本で培われた技術や知識などを開発途上地域等に伝えることで、その国の経済発展を担う“人作り”に貢献する目的があります。日本企業が海外の現地法人(取引先や合弁企業含む)と連携して行う「企業単独型」と、監理団体が技能実習生を受け入れてから、傘下の企業等で技能実習を行う「団体監理型」に分かれるのが特徴です。
在留期間 最長5年(介護福祉士の資格を取得すれば、在留資格「介護」を選択することで永続的な就労が可能)
必要な日本語能力
N4程度

技能実習生として求められる日本語能力は、目安として日本語能力検定試験の“N4”程度だと言われています。これは基本的な語彙や身近な漢字を理解でき、かつ話すペースがゆっくりであればヒアリングした内容をほぼ理解可能、というのが基準。生活に支障がない程度、もしくは介護の現場で働くために必要な日本語能力の習得が望ましいと考えて良いでしょう。

必要な介護知識・スキル

団体監理型:外国にて同等の介護業務従事経験」があること、
企業単独型:受け入れる事業所と近しい関係のある外国の機関の事業所の職員であること

配置基準を満たすまでの期間

就労開始から6ヶ月以上経過後

勤務可能サービス

身体介護業務等(訪問サービスは対象外)

夜勤可否

可(技能実習におけるガイドラインに要件を記載)

転職可否

原則不可

受け入れ・サポート期間

全国の監理団体

特定活動(EPA)

概要と目的 介護業界におけるEPA(経済連携協定)とは、主にベトナム、インドネシア、フィリピンの3か国と日本が結んでいる経済関係強化を目的とした協定のこと。「EPA介護福祉士候補者」と認められた外国人は、日本の介護施設で介護福祉士の資格取得を目指しながら研修を行います。国ごとに要件が細かく異なります。
在留期間 原則4年(※一定の条件を満たせば5年。介護福祉士の資格を取得後、在留資格「介護」を選択することで永続的な就労が可能)
必要な日本語能力
N3程度

EPAの候補生は、就労開始時点で日本語能力検定試験における“N3”程度の語学力を有しているのが望ましいと言われています。これは「日常的な場面で使用される日本語をある程度理解できる」のが目安で、新聞の見出し等を読んで概要を掴める、難易度が高い日本語も言い換え表現があれば理解できる、などが特徴です。

必要な介護知識・スキル

母国の看護学校での実務経験、または母国政府による介護士認定(フィリピン・インドネシア)

配置基準を満たすまでの期間

就労開始から6ヶ月以上経過後

勤務可能サービス

介護保険3施設、認知症グループホーム、特定施設、通所介護、通所リハ、認知症デイ、ショートステイ(資格取得前は訪問サービスに関する制限あり、資格取得後は一定要件を満たした事業所の訪問系サービスであれば対応可能)

夜勤可否

可能(雇用して6か月経過、もしくは日本語能力試験 N1or N2合格が条件)

転職可否

原則不可

受け入れ・サポート期間

JICWELS(公益社団法人国際厚生事業団)

在留資格「介護」

概要と目的 在留資格「介護」は、外国人が介護施設で働くための就労ビザの一種。既に介護福祉士の国家資格を取得した人が、日本の会社や介護施設と雇用契約を結ぶのが特徴です。一般的には留学生として入国し、養成施設で資格を取得する方法と、技能実習生や特定技能などで入国し、3年以上就労したのち資格を取得する方法があります。
在留期間 永続的な就労が可能
必要な日本語能力
N2以上

在留資格「介護」の場合、指導者としても就労可能なため、比較的高い日本語能力が求められる傾向があります。事前に養成施設で資格を取得する場合は、「日本語能力試験JLPTでN2以上に合格、あるいは日本語試験でN2相当以上」と具体的な入学条件が定められているケースも存在するようです。

必要な介護知識・スキル

介護福祉士資格

配置基準を満たすまでの期間

雇用後すぐ

勤務可能サービス

制限なし

夜勤可否

可能

転職可否

可能

受け入れ・サポート期間

なし

日本語力

日本で働くために必要な日本語力についても、それぞれの在留資格によって求められるレベルが違います。順番としては①在留資格「介護」、②EPA、③技能実習、④特定技能の順で、在留資格「介護」のレベルが最も高くなります。日本語力は日本語能力試験の成績で判断されることになりますが、基準として採用されている「N2以上」は「日常で使われる日本語が理解でき、それ以外の場面で使われる日本語もある程度理解できる」水準です。

介護士としての技術

介護士としての技術もそれぞれの在留資格によってレベルが異なります。順番としては①在留資格「介護」、②EPA、③特定技能、④技能実習の順になっており、日本語力とは特定技能・技能実習の順番が反対になっています。

働ける期間

在留資格「介護」に関しては期間の定めがないため永続的に勤務することができますが、EPA、特定技能、技能実習に関しては3年から5年という期間が定められているため、在留資格「介護」が最も有利である点は日本語力・技術と同じです。ただし、介護福祉士の資格を取得すればそれぞれの資格を在留資格「介護」に変更できますので、永続的に働けるようになります。

任せられる業務内容

在留資格によって任せられる業務内容も異なります。在留資格「介護」においては特段の制限がありませんので日本人と同じように一通りの業務を任せることができます。しかし他の在留資格では訪問系サービスはできません。EPAが介護福祉士の資格を取得した場合、一定条件を満たした事業所の訪問系サービスは可能です。また、他の在留資格であっても夜勤そのものは任せられることがありますが、一人での夜勤は在留資格「介護」のみしか対応できません。

特定技能制度による在留資格

特定技能制度は外国人の在留資格のひとつであり、在留資格を持つのは特定技能「1号」となっています。この制度は、2019年から始まった制度であり、深刻化する人手不足を解消することを目的としています。そのため、生産性向上や国内人材の確保への取り組みを行ったとしても人材確保が難しい分野に限って、一定の専門性や技能を持つ外国人材を受け入れることができます。

この資格の在留資格は最長5年となっていますが、介護福祉士の国家資格を取得できれば在留資格「介護」にランクアップすれば、永続的に働けるようになります。

受け入れの流れ

受け入れにあたり、介護施設では「1号特定技能外国人支援計画」を策定します。そして特定技能外国人が入国すると、「生活オリエンテーション」を実施します。オリエンテーションは生活全般や出入国管理法などの内容が含まれます。この生活オリエンテーションが終了すると、就労可能になります。

受け入れの条件

特定技能制度における受け入れ要件は、技能水準ならびに日本語能力水準を試験などで確認し、十分な水準にあると判断された場合に入国することが可能です。この試験は「介護技能評価試験」ならびに「日本語試験(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上および介護日本語評価試験)」が対象となっています。

介護分野の特定技能制度について詳しく見る

技能実習制度による在留資格

技能実習制度は1993年に開発途上国で経済発展を担う人材育成への協力を目的として創設された制度です。在留資格には3つの区分があり、1〜3号の合計5年間就労することが可能です。技能検定試験に合格することにより資格を移行でき、在留期間が更新されます(不合格の場合は1回のみ再受験が可能)。

また、特定技能「介護」への移行が可能ですので、もし移行できれば日本で働き続けることができます。在留資格「介護」へ移行できる可能性もあります。

受け入れの流れ

技能実習生は現地の送出し機関での事前選考や現地での面接、マッチング、日本語及び介護導入講習、日本語能力試験などを経て来日し、入国した後には監理団体による講習が行われます(原則2ヶ月間)。講習終了後には介護事務所と雇用契約を結び、実習(就労)が始まるという流れになります。

受け入れの条件

技能実習制度における受け入れ要件は介護施設などの実習実施者のもとで最大5年間の実習を受け、実習の各段階で技能評価試験を受検する必要があります。技能実習制度は得た技術を本国に持ち帰ることが趣旨となっているため、帰国後も同じ業種の業務に従事することが予定されていることも要件に挙げられます。

介護分野の技能実習制度について詳しく見る

特定活動(EPA)による在留資格

インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国が対象の制度です。この3つの国で看護や介護について学んだ人が、OJTで学びつつ介護福祉士の資格取得を目指します。試験に合格する際には高いレベルの日本語能力が求められる点、また専門知識についても学ぶ必要がある点から、雇用先で資格取得に向けたサポートが必要です。

在留期間は4年間ですが、その間に介護福祉士の資格を取得できれば特定活動「EPA介護福祉士」へと変更でき、家族の帯同が可能になることに加えて在留期間の制限もなくなります。

受け入れの流れ

EPAの受け入れにあたっては、「就学ルート」と「就労ルート(フィリピン、ベトナムのみ)」の2種類があります。まず、「就学ルート」の場合は、介護福祉士養成施設にて2年以上の研修を受けて合格を目指す流れになります。対して「就労コース」の場合は、介護施設などで介護福祉候補として3年以上の就労と研修を実施し、試験への合格を目指します。

受け入れの条件

EPAはフィリピン・インドネシア・ベトナムとの間で取り決めをされている制度であり、候補者はそれぞれ自国で定められた条件をクリアする必要があります。訪日前に日本語研修を半年から1年受けなければならず、日本語能力検定でも一定の成績を残す必要があります。訪日後にも決められた対応として研修や試験を受ける必要があります。

介護分野の特定活動(EPA)について
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在留資格「介護」制度

在留資格「介護」とは、介護福祉士の資格を持ち、介護または介護の指導を行うことを目的とした在留資格を指します。こちらの制度は、高い専門性を持つ外国人労働者を受け入れるためのものとなっています。

家族の帯同が可能であり、さらに在留期間は5年・3年・1年・3ヶ月のいずれかとなっていますが、繰り返し更新することができます。そのため、本人が希望する限り雇用し続けることができます。

受け入れの流れ

外国人労働者が学校やOJTによって介護を学び、国家試験に合格して介護福祉士の資格を取得したのち、日本の介護施設との雇用契約をもって在留資格「介護」への移行ができます。

受け入れの条件

在留資格「介護」の資格を取るためには一定の技能水準・日本語能力水準を満たす必要がありますが、介護福祉士養成施設の修了やEPAとして一定期間就労・研修するなどといった対応を行うことにより、他の資格から目指すことも可能です。在留資格「介護」があると永続的に日本で介護士として働けますので、他の資格よりも求められる条件が厳しくなっています。

在留資格「介護」について詳しく見る

外国人介護人材のビザについて

こちらのページでは、外国人人材が日本で仕事をする上で重要なビザについて解説しています。在留資格「介護」のビザ取得の要件や流れなどについてまとめています。また、ビザと在留資格の違いについても紹介します。

外国人介護人材のビザにについて詳しく見る

違いを知って適切な配置を

人手不足はあらゆる業界で深刻な課題となっていて、介護業界も例外ではありません。今後は外国人労働者の受け入れもしていくことも選択肢の一つになると思いますが、在留資格によって条件が異なりますので、それぞれの違いを知っておかなければ必要なスタッフ補充ができないおそれもあります。まずは在留資格ごとの違いを知ったうえで自社に必要な人材を補充するべく取り組みましょう。このサイトではほかにもさまざまな情報を発信していますので、チェックしてください。

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